NTTデータは6月29日、生成AI(人工知能)の活用をグローバルで推進するという「Global Generative AI LAB」を設立したと発表した。先進技術を使用するビジネス創出を目的とする「イノベーションセンタ」が中心となり、生成AIのソフトウェア開発分野への適用、各国拠点の関連ソリューションの展開やラボ活動、生成AI活用のためのガイドラインの策定について、グローバル全体で取り組む。
具体的には、ソースコード自動生成やチャットボットである「eva」、文章検索ソリューションである「Dolffia」などの生成AI関連ソリューションをグローバルで展開し、文書読解AIである「LITRON」と生成AIを連携した新サービスを提供する。
ラボ活動では、ユーザー企業との協創を目的に、各拠点のノウハウ共有、今後登場する新たなAIに対する調査検証、NTT研究所が開発する生成AIモデルを利用する。倫理やセキュリティの観点からガイドラインを策定し、ユーザー企業のビジネスで最新のAI技術を安心安全に活用できる環境構築を目指す。
新ラボの取り組みとして同社は、生成AIのソフトウェア開発分野への適用、各拠点が持つソリューションの展開、ラボ活動を通した顧客との協創を推進、生成AI活用のためのガイドラインの策定とグローバル・ガバナンス体制の整備の4点を挙げている。
ソフトウェア開発分野への適用に関しては、日本とスペイン拠点の共同での取り組みを2020年に着手しており、その一環として生成AIを使用してソフトウェア・マイグレーションを実現するソリューションを開発し、既に複数の顧客とPoCを実施している。
今後は製造および単体試験工程を始め、各工程で利用可能な生成AIを使用するアセットをグローバルで整備すると共に、次世代開発プロセスを整備し、グローバルの全19万5000人での標準利用を目指す。
ソリューションの展開については、NTT DATA EMEALで提供を開始した文章検索ソリューションである「Dolffia」およびチャット・ボット・ソリューションである「eva」を、EMEAL以外の地域に展開する。
まず、日本語の利用検証を実施し、2023年上期から国内のユーザー企業とPoCを実施すると共に、自然文検索を含むコンテンツ検索の高精度化、ナレッジの自動要約や自動分類、画像検索などへの対応を進めるとしている。
協創の推進に関しては、生成AIの活用方法をユーザー企業と共に協創し、必要な技術検証を実施するという。将来的には、OSSや各ベンダーが提供するモデルなども含め、NTT研究所が独自開発する分野特化型のモデルを使用するサービス展開も目指す。
ガイドラインの策定とグローバル・ガバナンス体制の整備に関して、同社のグローバルでのAIガバナンス活動として、2019年にAI指針を策定、2021年に外部有識者の知見を取り入れるためのAIアドバイザリー・ボードを設置、2023年4月にはAIガバナンス室を設置したとのこと。
同社は今後、生成AI技術分野において、ユーザー企業のビジネス革新を実現すべく、グローバルで体制を順次拡大するという。また、生成AIを活用した文章生成に加え、画像や音などマルチ・モーダルな基盤モデルに対する取り組みも進めるとしている。