6月21日、WithSecure(ウィズセキュア) CRO(Chief Research Officer) Mikko Hypponen(ミッコ・ヒッポネン)氏の著書『If It's Smart, It's Vulnerable』の日本語訳書『「インターネットの敵」とは誰か?』(翻訳:安藤貴子、双葉社)が発売開始した。同日にヒッポネン氏本人がフィンランドから来日し、在日フィンランド大使館において講演が行われた。

  • ミッコ・ヒッポネン氏初の日本語訳の著書『「インターネットの敵」とは誰か?』。装丁は独特なデザインとなっており、目を引く

    ミッコ・ヒッポネン氏初の日本語訳の著書『「インターネットの敵」とは誰か?』。装丁は独特なデザインとなっており、目を引く

今回、ヒッポネン氏の日本語訳書は初となる。同氏は「私は32年間、テクノロジー分野に従事している。テクノロジーもそうだが、日本文化も好きだ。著書が日本語に翻訳されたことを嬉しく思う。これまで書こうとは考えていたが、なかなか思うようにはいかなかった。コロナ禍により時間が確保できたため、書き上げることができた」と話す。

  • WithSecure(ウィズセキュア) CRO(Chief Research Officer) Mikko Hypponen(ミッコ・ヒッポネン)氏

    WithSecure(ウィズセキュア) CRO(Chief Research Officer) Mikko Hypponen(ミッコ・ヒッポネン)氏

ご存知の方も多いかもしれないが、同氏の経歴を簡単に紹介する。ヒッポネン氏は1969年生まれで、1991年に旧F-Secureに入社して以来、数千にのぼるウイルスの分析に従事し、多くのサイバー犯罪の解決に貢献。

コンピュータセキュリティに関する世界的な権威であり、New York TimesやWIRED、Scientific Americanなどの新聞/雑誌にリサーチ結果を掲載し、オックスフォード大学、スタンフォード大学、ケンブリッジ大学での講義経験を持っている。

さまざまなイベントで講演しており、TEDには複数回出演している。現在ではNordic Business Forumのボードメンバー、ユーロポールのアドバイザリーボードメンバーとしても活躍し、シンガポール金融管理庁に籍を置いている。

同氏は「著書のテーマはインターネットやAIをはじめとした“IT革命”により世界で最高なことが起きたと同時に、最悪のことも起きたということを執筆している。インターネットは世界を大きく変化させ、良いこと、悪いことどちらも起こり、世界の距離を縮めた。しかし、サイバー攻撃という新たな犯罪形態の登場も誘発した」との認識を示す。

これ以上、書いてしまうと同書の内容にも触れてしまう恐れがあるため、興味がある方には是非読んでもらいたいと思う。

同書は全8章で構成されており、インターネットやプライバシー、暗号通貨、スマート技術、諜報・戦争、AIなどを対象に、ヒッポネン氏の鋭い洞察力でサイバー犯罪・攻撃の40年史を自身の経験もふまえて説明しており、示唆に富む内容となっている。

今回、日本語訳が発売開始したが、7月にはドイツ語版、その後はウクライナ語版の訳書も刊行を予定しており、5カ国語で翻訳されることになる。

講演の最後にヒッポネン氏は「私たちはもはやコンピュータの安全の確保はしていない。私たちは社会を守っている」と結んでおり、時間に余裕がある方は同書を手にとって精読してみるといいかもしれない。