NECは6月21日、事故や自然災害などによる輸送障害時における最適復旧ダイヤを短時間で作成するAIを活用したプロトタイプシステムを構築したことを発表した。
同システムでは、現実的な時間で大規模最適化問題の解が得られる強化学習を搭載したAIである「大規模システム最適化技術」を活用しており、短時間で最適な復旧ダイヤ作成が実現できるという。AIは鉄道運行をデジタル空間に再現する鉄道運行用デジタルツインを用いて、作成したダイヤの実用性を検証する。また、実際の輸送障害のケースに加えて、未経験のケースをデジタルツイン上で発生させることで、AIは試行錯誤しながらその対処方法を学習する。
従来の組み合わせ最適化AIでは、輸送障害時に膨大な計算により最適解を探索していたが、今回開発されたプロトタイプシステムのAIは事前に対処方法を学習することで、輸送障害時に数分で効率的なダイヤを作成することができるという。
同社は今回、小田急電鉄の協力を得て小田急小田原線を対象に鉄道運行用デジタルツインで技術検証を実施。その結果、過去の輸送障害事例のうち任意のケースにおいて、列車の駅間停車を回避する運転整理ダイヤを出力できたという。
NECは今後、さらなる性能向上に加えて、運行管理の現場に適したユーザーインタフェースの開発を開始し、同システムの実用性の検証を進める。