積水樹脂は6月15日、三井住友海上火災保険と共同で、水災時の被災地の住民避難や災害対応の迅速化にも貢献するという「IoT浸水深センサ」の開発を開始すると発表した。6 月28日から東京ビッグサイトで開催予定の「地域防災EXPO」に共同出展すると共に、実用化に向けて実際の建物などのフィールドにIoT浸水深センサを設置して検証を進める。

  • IoT浸水深センサシステムのイメージ

国土強靭化の一環として、河川への水位センサの設置は進んでいるというが、洪水や内水氾濫により市街地や建物などの地上が水に浸かる浸水深を計測するセンサの設置は、今後の課題という。

人命救助や復旧に向けての災害対応では、多くの地点のリアルタイムな浸水深の把握が必要といい、これに対応できるセンサが求められていたと同社はいう。こうした社会課題の解決を目指し、IoT浸水深センサの共同開発を開始した。同社はすでに河川の水位監視ができる小型・軽量なIoT水位センサを開発し、現場の水位変化・異常をリモートで把握することで河川管理の省力化につなげている。

今回の共同開発では、同社はLPWA Sigfoxネットワークを利用し、災害時に地上の浸水深を遠隔から把握できるIoT浸水深センサを新たに開発、保険金支払に使用できる浸水深データの取得およびクラウドを通じたデータ提供について検討していくとのこと。

三井住友海上は、クラウドで受信した浸水深データのデータベース化およびアラート・システムの構築、浸水深データを使用した保険金支払いシステムの構築について検討していく考えだ。

  • 中小河川向け簡易水位センサ「小型IoT水位センサ」のイメージ

両社の技術を掛け合わせ、同センサを建物に設置し浸水深データを保険会社に連携することで、浸水建物の現地調査の簡略化や迅速な保険金支払いを実現し、被災地の早期復旧に貢献するという。

また、データの官民連携により浸水状況の速やかな把握が可能となり、迅速な災害対応や地域への情報発信の実現にもつながるとしている。