営業支援を中心とした事業を手掛けるブレーンバディは6月6日、営業成果のばらつきをなくす育成DXツール「SaleSpot」の発表会を開催した。
発表会では、同社開発の新サービス「SaleSpot」の紹介をはじめ、同サービスの先行導入で新人営業の売上単価向上割合が前年の約3.3倍となったアート引越センターの担当者も登壇し、営業人材の育成に関する取り組みについて語った。
本稿ではその一部始終を紹介する。
「デジタルを活用した育成の仕組み作り」が必要な2つの背景
大矢氏曰く、日本の営業組織の課題は「人事と現場で育成体制が分離」、「OJTの育成でそれぞれのMG頼り」、「営業ナレッジを個人が保有」という3点が大きく影響しているという。これらにより、結果として、営業1人ひとりに成果のバラつき・属人化が大きく発生してしまうのだ。
これらを解決するためには、「これからの時代、「ジタルを活用した育成の仕組み作りが重要」と、大矢氏は強調した。
「現在、デジタルを活用した人材育成の重要性が高まっていますが、その背景には2点あります。1つ目は『雇用の変化』です。近年、転職回数の増加や在籍期間の短期化によって、短期間での人材育成が必要になっています。2つ目は『テレワークの推進』です。新型コロナウイルスの流行により、企業ではテレワークの導入が大幅に拡大しました。これにより、オンラインでの育成機会を設ける、つまり『営業の育成をDXする』ことが必要になったのです」(大矢氏)
営業人材の育成を実現する上で必要な要素として、大矢氏は以下の3点を挙げた。
- 属人化を防ぐ営業オペレーション設計
- スキル・知識を浸透させる育成の仕組み
- オペレーションを実行しきるマネジメント体制
そんな3つの要素を網羅したのが、今回発表された営業をテクノロジーで育てるSaaS「SaleSpot」だ。
SaleSpotは、「個人と組織の営業スキルを可視化」「学習コンテンツマネジメント」「個人と組織の学習データを可視化」という3つの代表的な機能を有している。具体的には、自社最適のスキルマップによって営業スキルを可視化することで、営業マネージャーは育成施策を的確に設定でき、営業担当自身もどのスキルを身に付ければ成果が出るのかを簡単に把握することができるツールとなっている。
また、マップにひもづいた学習コンテンツで営業担当へのスキルの浸透を推進し、組織の成果水準を均一化させることも可能となっている。
大矢氏は、SaleSpotに対する想いを以下のように述べた。
「ブレーンバディは『一人でも多く、パフォーマンスを発揮できる機会を提供する』をミッションに掲げています。SaleSpotを通して、営業マネージャーの抱える多くの課題を解決することで、マネージャーはもちろん、会社やプロダクトが好きで入社した新人たち、マネージャーが不在の中頑張っている方々など、多くの人にパフォーマンスを発揮する機会を提供できると信じています。今後は、マネジメントやコーチングに時間が割けないといった悩みを解決できるような機能を追加していく予定です。営業組織のインフラになるプロダクトになれるよう取り組んで参ります」(大矢氏)
アート引越センターの新人教育を変えた「ネオセールスコンテスト」
また発表会の後半には、SaleSpotを先行導入して成果を挙げたアート引越センターの営業推進部 営業推進課 副部長の玉利賢市氏が登壇し、同社が抱えていた課題や現在の取り組みについて紹介した。
「弊社では、営業育成における課題として『営業のベースが存在していない』『マネージャーの育成方法が属人化している』『売れるナレッジが回っていない』という3つが存在していました」(玉利氏)
同社はこの3つの課題を解決するため、「正しい売り方の展開」「ナレッジの発信学ぶ文化の形成スキルマップの活用」「セールスコンテスト・ネオセールスコンテストの開催」という3点を実施した。
特に新人育成において一役買ったのが「ネオセールスコンテストの開催」だ。
ネオセールスコンテストとは、SaleSpotを活用して実施された、営業歴2年未満の営業職成績上位40名を対象として行われた若手の営業スキルアップを図るためのコンテスト。
SaleSpotを導入したことで誰でも情報にアクセスできるようになったほか、同コンテストを実施したことなどにより、従来1年で単価アップを実現するメンバーは30%ほどだったが、今期は100%(前年比約3.3倍)の新人が単価アップに成功したとのことだ。さらには、学ぶことを楽しむ、営業を楽しむといったエンゲージの向上も確認できたという。
玉利氏は以下のように述べて、発表会を締めくくった。
「今後の展望としては、『属人的でない強い営業組織の構築』『全国で統一された品質基準の向上』『楽しみながら仕事をするスタイルの形成』という3つを目指します。物流業界は2024年問題という大きな壁を目の前にしています。この問題を解決する根底にあるのは『営業力』と『品質』と感じていますので、皆さまから安心して選んでいただけるサービスを目指して、より一層邁進してまいりたいと思います」(玉利氏)