東急不動産とソフトバンクは6月5日、東京都港区の竹芝地区において共同で推進するプロジェクト「Smart City Takeshiba(スマートシティ竹芝)」で、竹芝地区で収集した多様なデータをさまざまな事業者がリアルタイムに利用できるデータ流通プラットフォームを活用し、防災力の強化や来訪者の回遊性向上など都市課題の解決に向けた取り組みをさらに拡大することを発表した。
両社は、竹芝エリアマネジメントが活動を行うエリアで、2019年7月にスマートシティのプロジェクト「Smart City Takeshiba」を開始し、スマートシティに関する取り組みを進めてきた。このたび、東急不動産の都市開発やエリアマネジメントに関する知見と、ソフトバンクのテクノロジーやスマートシティに関する知見をかけ合わせ、街の状況をリアルタイムに把握・情報発信できる防災サービスの導入や、デジタルツインによる災害発生時のシミュレーションを活用した防災力の強化など、竹芝地区のような都市部での課題を解決していくという。
ソフトバンクは、街の防災情報を1つに統合し、街の状況をリアルタイムに把握して情報発信できる防災サービスを開発した。また、東急不動産とソフトバンクは、この防災サービスを基に自治体が情報収集を効率化する「統合管理 UI」を構築し、豪雨発生時の対応の効率化を検証する実証実験を2022年12月に行い、災害時の情報の収集・発信など複数の作業において所要時間を約 50%以上削減できることを検証したという。
街の情報を含めて災害時の情報を一元管理できるシステムは、自治体の担当者やエリアマネジメント組織の管理者、施設管理者らが、運営の判断や情報収集、施設から来館者への情報発信などに活用することが可能。この実証実験を通して機能の改善などを行った上で、竹芝地区の情報を統合管理・発信する防災サービスとして、竹芝エリアマネジメントが導入する。
両社は、キャドセンターやFusicと共に竹芝地区のデジタルツインを構築し、自治体と施設間の情報連携や来訪者の一時滞在施設への避難、一時滞在施設における入館時の受け入れ対応などの効率化を検証した。検証では正確性や迅速性、省力性などについて高い評価が得られ、受け入れ対応においては約70%以上の効率化につながるという結果であったという。
この結果を踏まえ、自治体や施設管理者、帰宅困難者などがリアルタイムに情報を把握して共通認識を持ち、円滑な避難行動を起こせる環境と仕組みを構築していく構えだ。また、東急不動産は検証した一部の機能を4月から東京ポートシティ竹芝に実装しており、災害発生時に円滑な避難誘導を実施することで、安全・安心な施設運営に取り組んでいるという。
また、竹芝エリアマネジメントと連携し、竹芝地区全体の価値向上に寄与する情報の発信を目的として、9施設に合計20台の可動式サイネージを設置。来訪者の人流データや属性データを取得する機能を搭載したカメラを設置し、来訪者の属性や行動パターンを把握することで各施設の販促に活用するとともに、各施設の情報を相互に発信することで相互送客を促し、来訪者の回遊を高める取り組みを進めている。
さらに竹芝地区の回遊性の向上に向けた取り組みとして、OpenStreetなどのシェアモビリティ事業者のデータと連携し、竹芝エリアマネジメントの公式LINEや東京ポートシティ竹芝のデジタルサイネージに満空情報を表示するなどの取り組みを進めている。
今後、東急不動産とソフトバンクは、これらの成果を「広域渋谷圏」をはじめとした新たな都市開発案件や、東急不動産の関連施設へ積極的に導入することで、防災の効率化や街の回遊性向上など都市課題解決の取り組みをさらに拡大していく構えだ。