パナソニック ホールディングス(HD)傘下で、電池事業を手掛けるパナソニック エナジーは6月1日、事業戦略説明会を開き、2030年度の売上高を3兆円以上、EBITDA率を20%にする計画を公表した。2022年度比でそれぞれ3.1倍以上、2倍に引き上げる。説明会に登壇した社長執行役員 CEOの只信一生氏は、「車載電池事業と産業・民生事業による両輪経営で持続的な成長を実現する」と語った。

  • パナソニック エナジー 社長執行役員 CEOの只信一生氏

    パナソニック エナジー 社長執行役員 CEOの只信一生氏

  • 2030年度に売上高3兆円超、EBITDA率20%を目指す

    2030年度に売上高3兆円超、EBITDA率20%を目指す

特に力を注ぐのが、電気自動車(EV)向けの車載電池事業だ。パナソニック エナジーは、2030年度までに電池の生産能力を22年度比で約4倍となる200GWh(ギガワット時)に高める目標を掲げている。その目標の達成に向けて、同社は2024年度までの3年間で戦略投資6000億円の大半を車載電池事業に投じる。

  • 生産能力200GWhに向けて競争力強化、サプライチェーン強靭化を推進する

    生産能力200GWhに向けて競争力強化、サプライチェーン強靭化を推進する

同社は、現在建設中で来期に稼働する米カンザス州の工場を含め、米国に2つの工場を抱えている。加えて、電池の生産能力を高めるため、北米に新拠点を建設する予定だ。場所は未定だが「2023年度中には決定する」(只信氏)という。

競争力を強化するために、まずは電池の高容量化を引き続き進める。現在主力の「2170セル」の体積あたりのエネルギー密度を従来比で5%向上し、新型の「4680セル」にも2170の進化技術を展開する。「2030年に体積あたりのエネルギー密度を25%増となる1000Wh/lへ高めていきたい」(只信氏)

  • 電池の高容量化を進める

    電池の高容量化を進める

電池の高容量化に加えて、研究・技術開発の拠点を集約・拡充することで、開発効率を向上する。要素技術の研究開発は守口で継続し、2024年には住之江に生産技術開発拠点を、2025年には門真に研究開発拠点を新設し、次世代電池とその材料の源流開発を加速する。また、それに伴う技術・モノづくりのコア人材の強化に向けて、2025年度までに国内で1000名の増強を計画している。

  • 研究・技術開発の拠点集約・拡充

    研究・技術開発の拠点集約・拡充

電池の生産力を200GWhまで引き上げるには、競争力の強化だけでなく、サプライチェーンの強靭化も必要だ。同社は電池能力の増強を支えるサプライチェーンを量と環境性能の両面から強化していく。2025年度におけるカンザス工場の増産については、すでに量の確保の目処が立っているとのことだ。