パナソニック ホールディングス(HD)傘下で法人向けシステムを手掛けるパナソニック コネクトは6月1日、事業戦略説明会を開き、2028年3月期にEBITDAを2023年3月期比で2倍となる2000億円にする計画を発表した。

アビオニクス(航空機に搭載される電子機器)事業とBlue Yonderが手掛けるサプライチェーンマネジメントシステム(SCM)事業で1000億円、モバイルソリューションや現場ソリューションといったその他事業全体で1000億円、合計で2000億円のEBITDAを目指す。そして、EBITDAが占める比率は合計で15%超を目標とする。

  • パナソニック コネクトが2027年度に目指す姿

    パナソニック コネクトが2027年度に目指す姿

説明会に登壇した代表取締役執行役員社長 CEOの樋口泰行氏は、「調達の課題や部材高騰の課題は回復傾向にあり、乱れたオペレーションや在庫を正常化している段階だ。これからは成長機会をしっかりと捉えて、成長を牽引していく」と語った。

  • パナソニックコネクト 代表取締役執行役員社長 CEO 樋口泰行氏

    パナソニックコネクト 代表取締役執行役員社長 CEO 樋口泰行氏

アビオニクス事業は、新型コロナウイルス感染症で最も大きな影響を受けた業界事業の一つ。2020年に世界の航空旅客需要は急落したが、2023年は約90%強まで回復し、2024年以降はコロナ禍前を上回ると同社は見ている。

それに伴い、機体発注や生産の状況も回復傾向にある。新規の機体発注とナローボディ機(旅客機のうち内部の通路が1つしかないもの)の生産は回復済で、ワイドボディ機(内部の通路が2つあるもの)の生産は大型発注が相次ぎ、2025年に回復する見込みだ。

  • アビオニクスの事業環境

    アビオニクスの事業環境

今後は、次世代機内エンタメシステム「Astrova」を導入したハードウェアを強化し、デジタルエンゲージメント分野のソフトも強化していく考えだ。「イニシアチブが取れるビジネスモデルを最大限に生かしていきたい」(樋口氏)

一方のBlue Yonderの事業に関して樋口氏は、「今後3年間でしっかりと投資した後、利益を稼ぐフェーズに突入していく」と説明。

具体的には、今後3年間で2億ドル追加投資し、スケールブルなSaaSプラットフォームの構築と、カスタマーサクセスの差別化、収益性の向上を目指す。同社が手掛けるEnd to Endなソリューションに生成AI(人工知能)などの新技術を加え、高度化させていくとのことだ。

その他の事業に関しては、「徹底的なオペレーション改革を進め、専鋭化・筋肉質化で収益を拡大させる」(樋口氏)という。今後3年間で約1000名の人員削減を図り、固定費率を2022年度比で2%削減することを目指す。「事業部のみならず、パナソニック コネクトの本社機能も含めてスリム化を図り、徹底的なコスト削減を図っていく」(樋口氏)

  • その他事業体の事業戦略

    その他事業体の事業戦略

同時に人材投資にも集中し、年間で60億円投資し従業員の成長につなげる。具体的には、研修費用や、働き方の多様性を上げるための休暇の種類を増やすための費用、報酬の引き上げなどに投資する。

樋口氏は、「この投資額はグローバルカンパニーと同等で、日本の上場企業の平均を大きく上回るレベル。ジョブ型で一人一人のスキルを向上し、市場価値に即した報酬を設定し、一人一人の活躍をさらに加速していく」と説明。

加えて、従業員の働きやすい環境を実現するため、ダイバーシティを尊重するとともに、ハラスメントに厳正に対応していく方針。問題行動は人事評価に反映し、特にセクハラに関しては厳罰化する。

  • 企業価値向上を実現する人材戦略

    企業価値向上を実現する人材戦略

「事業立地の改革、オペレーションの改革、企業カルチャーの改革。この3つの改革を進め、グループ全体の企業価値向上につなげていきたい」(樋口氏)