スノーフレイクは5月30日、ビジネス戦略発表会を開催し、社長執行役員の東條英俊氏が2023年度の事業戦略を説明した。2022年度のグローバルでの収益は19億3880ドル、日本円にして約2600億円と昨対比70%増の伸びを見せたほか、直近の第1四半期の収益は5億9,010万ドルで、前年比50%の成長となっており、同社のビジネスは順調に伸びている。
こうした好調な業績を追い風に、同社の「インダストリー」「データコラボレーション」「データクラウド/アプリケーション開発」「次世代のデータ人材育成」との4点を軸とした、成長戦略を推し進める。
成長戦略:インダストリー
インダストリーに関しては8つに分けて、提案を行っていく。東條氏は「データ活用の形態は業界によって異なるので、必要になるデータセットを提供する。あわせて、ユースケースも提案していく」と説明した。
具体的には、以下の3つの施策に取り組む。
- インダストリーを重視した8営業本部の編成
- インダストリーごとのマーケティングアプローチ
- 業種コラボレーションの促進
成長戦略:データコラボレーションの加速
同社は、企業間でデータを共有する「データコラボレーション」を進めているが、2023年度はさらに加速する構えだ。
東條氏は、「これまで企業間でデータを共有する場合、データのコピーが行われてきたが、この方法では、時間やコストがかかる上、セキュリティの問題もある。そこで、われわれはデータシェアリングを安全かつ簡単に、速く、安く実現するデータコラボレーションの仕組みを提供している」と語った。
データコラボレーションを促進する仕組みの一つに、「Snowflakeマーケットプレイス」がある。「Snowflakeマーケットプレイス」を利用して、サードパーティのデータやサービスにアクセスしたり、自社のデータ製品を売り込んだりすることができる。現在、Snowflake マーケットプレイスには、グローバル390社が1,800種のデータを提供している。
成長戦略:データクラウド/アプリケーション開発
同社はもともと、データを活用するためのクラウドプラットフォームを「データクラウド」として提供してきたが、最近はアプリケーション開発の整備も進めている。東條氏は、同社がアプリケーション開発に注力する理由を次のように述べた。
「データのサイロ化が問題視されてきたが、データとアプリケーションは表裏一体の関係にある。データクラウドによってデータを統合することで、データのサイロ化は解消しつつある。これに伴い、アプリケーションのサイロ化が顕在化し、アプリケーションをデータに近づけたいというニーズが出てきている。そこで、われわれはアプリケーション開発の環境を作れるよう、Snowflakeに機能の実装をしている」
東條氏は、アプリケーションのサイロにまつわる課題の解決策として、同社が提供しているソリューションを3つ紹介した。1つ目は「Snowpark」で、Pythonなど多言語でのアプリ開発を実現する環境だ。2つ目は「Streamlit」で、UIを備えたアプリを開発・実行できる環境だ。3つ目は、開発したアプリをSnowflakeマーケットプレイスで共有・流通する「マーケットプレイスでのシェアリング」だ。
成長戦略:次世代のデータ人材の育成
昨今、グローバルでデータ人材の不足が問題視されているが、同社は以下の4つの施策によって、データ人材の育成を支援する。
- プロフェッショナルサービス&トレーニング、SnowPro認定プログラム
- 実践的な学びの場の提供
- Snowflake・データ活用コミュニティの拡充
- データドリブンリーダーの選出
例えば、実践的な学びの場の提供としては、次世代の経営を担う若手ビジネスパーソンを対象に「RISING 未来のデータサイエンスコンテスト」を開催する。同コンテストでは、データとアイデアの力を活用して広くアイデアを募集しており、5月31日にファイナリストの発表が行われる。
また、同社のデータクラウド「Snowflake」のコミュニティは活発な活動が行われているが、情報発信、エデュケーション、ネットワーキングといった目的に応じて活動が行われている。後述するKDDIでは、社内にSnowflakeのコミュニティが立ち上がっているそうだ。
Snowflake導入により、データの民主化を進めるKDDI
説明会には、スノーフレイクのユーザーとして、KDDI 執行役員常務 竹澤浩氏も登場した。同氏は冒頭、「当社はデータ人財を育成するため、さまざまな取り組みを行っているが、一歩先の人材育成が必要だという問題が出てきている」と語った。
同社はこれまで、自社のプログラムに従ってデータ人財の育成を進める一方、グループ会社16社でナレッジを共有するセミナーを開催するなどの取り組みを行ってきた。
次のステップとして、Snowflakeを導入して、顧客データ基盤、データクリーンルームを構築することで、データのサイロ化を解消するとともに、グループ横断でのデータも民主化を進めるという。
これにより、「グループ横断でDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進し、外部環境の変化に柔軟に対応していく」と竹澤氏は語っていた。