電源開発(Jパワー)は5月25日、ハイドレートメカニズムを利用して二酸化炭素(CO2)を地中に貯留する新技術を考案し、特許を取得したことを発表した。

  • CO2ハイドレート貯留のイメージ。

    CO2ハイドレート貯留のイメージ。(出所:J POWERプレスリリースPDF)

現在、大気中で大幅に増加してしまったCO2により温暖化が加速する一方で、何らかの形で減らさなければいけない瀬戸際の状況となっている。そこで、植樹して森林を増やしたり、DAC(ダイレクト・エア・キャプチャ)技術で大気中から直接CO2を取り除いたりと、さまざまな手法や技術が世界中で検討され、研究開発が行われたり、中にはすでに実践されているものもある。

そうしたCO2削減技術の1つとして、地中の帯水層にCO2を貯留させる地中貯留があり(在来型油ガス田と同様の地質構造としての遮蔽層が必要)、世界的に普及しつつある。日本においても、苫小牧CCS(CO2の回収・貯留)大規模実証試験や、国などの適地調査が進められている。なお、2050年のカーボンニュートラルを実現するためには、大量のCO2を地中に貯留する必要があるという。

今回開発されたCO2ハイドレート貯留技術は、日本周辺海域における大水深の低温・高圧環境下で形成されるハイドレートメカニズムを利用した、海底下地盤でのCO2の地中貯留技術で、メタンハイドレートが自然類似現象だ。ちなみにハイドレートとは、水を含む2つ以上の分子が結合して格子状の結晶構造を持つ包接水和物のことを指す。同技術が実用化されると、日本のCO2地中貯留の適地が拡大することになり、貯留可能量を増大させることが期待できるとする。

Jパワーは、国内CCS貯留事業調査に取り組むことを2023年1月に発表しており、今後もCO2ハイドレート貯留技術の実用化に向け、研究開発を進めていくとしている。