ジオテクノロジーズは4月25日、人工知能(AI)クラウドプラットフォームを提供する米国H2O.aiが提供する機械学習プラットフォームを採用し、車載カメラ映像から歩道の安全性を評価するAI技術を開発したことを発表した。
昨今、道路整備は進んでいるものの、依然として通学路の危険個所が残っており、登下校中の児童を巻き込む重大事故は無くなっていない。こうした現状をふまえて、先進運転支援システム(ADAS)や自動運転の開発・搭載を進めるカーメーカーなどは、交通事故ゼロ社会を目指す取り組みを進めている。その中でジオテクノロジーズは、全国の網羅的な歩道の安全性を地図上へマッピングし、事前に危険個所を特定したうえで、さまざまなリスクを予測可能にすることを目指し、AI技術の開発に着手した。
このAI技術では、走行画像の左右に映るシーンから歩道の安全性を5段階で識別するという。その識別精度は97%だといい、同社は今後も精度向上を目指した開発を進めていくとしている。また、この識別結果と撮影時の位置情報から、地図上に歩道の安全性をプロットした地図を作成することも可能だとする。そしてこの技術を、歩行者保護を取り入れた経路探索をナビゲーションシステムや自動運転のシステムに組み込むことができれば、通学路などの歩行者事故を防ぐことができるという。
この技術を活用できる対象や活用例はさまざまで、学校や保護者向けには通学路の安全性確認や危険個所の特定、自動車やナビメーカー、物流ベンダー向けには歩行者の安全性を取り入れた経路探索での利用が想定される。さらには、自治体や都道府県警による歩道の安全対策を踏まえた都市計画をも可能にするとする。
ジオテクノロジーズは、過去28年間かけて蓄積してきた位置情報や人流データをはじめとする多様かつ膨大なビッグデータと、地球に関わるさまざまなデータに最先端技術を融合させることにより、予測可能な「Geo-Prediction(ジオプリディクション)」の世界を生み出し、地球を取り巻くさまざまな社会課題の解決に貢献していきたいとしている。