IFSジャパンは4月13日、日本市場でのビジネス拡大に向けた事業戦略に関する説明会を実施した。同社はERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)、フィールドサービス管理、設備資産管理を単一のクラウドプラットフォームで提供する。本社はスウェーデンだ。

同社の事業は、「製造」「航空宇宙・防衛」「エネルギー・ユーティリティ・リソース」「サービス産業」「建設・エンジニアリング」「電気通信」の6業界にのみ特化してサービスを提供している点が特徴的だ。各業界に応じたERPやフィールドサービス管理などを、単一のプラットフォームで展開する。

  • IFSのサービスプラットフォームの概要図

    IFSのサービスプラットフォームの概要図

日本法人の代表取締役社長を務める大熊裕幸氏は、ロールスロイスの航空機エンジン事業における導入事例を紹介した。同社のプラットフォームを導入することで、ロールスロイスはエンジンを部品単位で状況を管理できるようになったという。また、航空会社のフライト状況と連携することで、従来の「規定の回数のフライトを行ったら部品を交換する」といった画一的な部品交換ではなく、航空機の詳細なフライト状況に応じた部品交換に対応できるようになったとのことだ。

その結果、以前よりもエンジンの寿命が約30%延長されたそうだ。これにより、ロールスロイスはエンジンそのものを売る機会自体は減っているものの、長期契約を結ぶきっかけとなり利益を確保しやすくなったとしている。

  • IFSジャパン 代表取締役社長 大熊裕幸氏

    IFSジャパン 代表取締役社長 大熊裕幸氏

同社が手掛けるクラウドサービス「IFS Cloud」は、業界に特化することによる専門知識の活用に加え、単一のプラットフォームとして提供することによるユーザビリティが強みだ。さまざまな機能を組み合わせてスイート型で提供するサービスとは異なり、単一のインタフェースやユーザーエクスペリエンスで操作できる。

同サービスはクラウド版だけでなく、オンプレミス版でも提供する。どちらを導入しても常に最新の機能を使えるとのことだ。防衛や航空の領域の顧客の要望に対応するための差別化だという。

  • IFS Cloudの5つの強み

    IFS Cloudの5つの強み

同社は今後、特に日本市場において、温室効果ガスのネットゼロ(正味ゼロ)への対応や、サプライチェーンのデータ可視化、人材不足や後継者不足を企業がビジネスチャンスに変えるための支援をする方針だ。

グローバルと同様に業界特化型は維持しながら、日本企業の特徴や要件に合わせたサービスを手掛けるという。

  • IFSジャパンの取り組み

    IFSジャパンの取り組み

顧客企業を支援するための取り組みの例が「カスタマー / パートナー サクセスプログラム」だ。Evergreenとして年間およそ2回のアップデートによりサービスを維持し、クラウド環境での開発に関する支援や、業界特化の課題に応じた要件への対応が可能となる。

企業ごとに専用の担当者を配備し、各社の事業計画などを聞きながら適切なサービス、およびプログラムを展開するとしている。日々の対応としては、インプリメンテーションやソリューションの保守運用などを行う。

  • IFSの「カスタマー / パートナー サクセスプログラム」の概要

    IFSの「カスタマー / パートナー サクセスプログラム」の概要

大熊氏は「日本の製造業の生産性は、OECD(経済協力開発機構)の中でも27位と非常に低い。これを改善するために製造業や防衛業の皆さんと一緒に成長していきたい」と述べ、説明会を結んだ。