エッジオ・ジャパンは4月5日、ビジネス戦略に関する記者説明会を開催した。同社は、旧ライムライト・ネットワークスが2022年6月16日に、ヤフー傘下の米エッジキャスト社の買収で誕生した米エッジオの日本法人となる。

米エッジオは現在、「アプリケーション」と「メディア」の2つのカテゴリーにて、CDN(コンテンツ配信ネットワーク)やエッジコンピューティングプラットフォーム、Webサイトの開発ツール、クラウドベースのセキュリティサービスなどを提供している。

説明会では、従来から提供していた次世代CDNの「Edgio AppOps」(旧Layer0)を進化させた新ソリューションとして、「Edgio Applications Platform 7.0」を2022年4月中にリリースすることが発表された。

  • 米エッジオの製品ポートフォリオ

    米エッジオの製品ポートフォリオ

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AppOpsの進化版、「Edgio Applications Platform 7.0」リリース

説明会には、米エッジオ CEOのボブ・ライオンズ氏が登壇し「2021年にライムライトのCEOに就任して以来、高パフォーマンスでスケールの大きいネットワークを提供してきた。その後、Layer0を買収して機械学習を用いた機能を実装し、エッジキャスト買収で堅牢なセキュリティを実現できた」と直近2年間の動向を振り返った。

  • 米エッジオ CEO ボブ・ライオンズ氏

    米エッジオ CEO ボブ・ライオンズ氏

加えて、ライオンズ氏はアジア太平洋市場に力を入れる考えを示した。米エッジオのグローバル全体の収益のうち、同地域における収益は約20%に相当し、日本における3年間のCAGR(年平均成長率)は約20%だという。2023年には同地域のネットワーク容量を114%増加させる計画が明かされた。

Edgio Applications Platform 7.0は、「Edgio Performance」「Edgio Sites」「Edgio Security」の3つのコンポーネントで構成される。各コンポーネントで提供される機能群は、単一のポータル上で利用でき、いずれかのコンポーネントの機能のみを利用することも可能だという。

Edgio Performanceでは、Webサイトのパフォーマンスを向上させるエッジ向けのファンクションを用意している。例えば、Webサイトを訪問したユーザーが次に何を閲覧したいか予測し、呼び出しておく「予測型プリフェッチ」がある。

Edgio Sitesでは開発者向けの機能を提供する。Webサイト開発のスタックであるJamstackを40種類以上用意しており、コードに変更を加えた際の影響を確認できる「ブランチプレビュー」機能も実装されている。

  • 「Edgio Applications Platform 7.0」で提供する機能の概要

    「Edgio Applications Platform 7.0」で提供する機能の概要

Edgio Securityでは、BotやDDoS対策の機能やWAF(Web Application Firewall)などのセキュリティツールが強化され、1つのプラットフォーム上で利用できるようになった。例えば「DDoSスクラビング」では、Webサイトの中で攻撃を受けているページのみのトラフィックをスクラビング(除去)することができるという。

  • 「Edgio Security」で強化されたセキュリテイ機能を提供

    「Edgio Security」で強化されたセキュリテイ機能を提供

米エッジオ Chief Marketing and Strategy Officerのナンシー・マルソ氏は、「当製品のプラットフォーム上で開発環境だけでなく、設計、テスト、ステージングの環境も提供する。そのため、開発者は自社内に個別に環境を用意せずに、機能追加後のWebサイトへの影響などを確認しながら開発を進めていける。また、セキュリティオペレーションチームはWebサイトのセキュリティの状況を単一プラットフォーム上で把握できる」と語った。

  • 米エッジオ Chief Marketing and Strategy Officer ナンシー・マルソ氏

    米エッジオ Chief Marketing and Strategy Officer ナンシー・マルソ氏

顧客サポートを強化 - SOC部門の日本語サポートも開始

日本市場での事業戦略については、エッジオ・ジャパン ジャパン・カントリー・マネージャーの田所隆幸氏が説明した。

「2023年はブランドの認知度向上に注力し、Edgio Applications Platform 7.0の販売を加速させる。2023年度内に30社以上の企業での採用を目指す。また、当社製品のエキスパートサービスの体制を強化するほか、SOC(Security Operation Center)部門の日本語サポートを開始する。製品トレーニングだけでなく、お客さまの課題を聞き出して解決法を見つけ出すような、ワークショップスタイルの製品紹介もしていく予定だ」と田所氏は意気込んだ。

  • エッジオ・ジャパン ジャパン・カントリー・マネージャー 田所隆幸氏

    エッジオ・ジャパン ジャパン・カントリー・マネージャー 田所隆幸氏

ブランドの認知度向上に向けては、まず、2023年中に自社Webサイトを刷新し、日本語コンテンツを充実させるねらいだ。

国内においては、同社製品の導入効果が出やすい小売業と金融業へのソリューション提案を強化する計画だ。製品の拡販に向けてパートナー戦略も強化する。既存の5社のパートナーに加えて、同社は現在、新規パートナー2社との契約を予定している。

また、今後は主要なIT・セキュリティ関連の展示会に積極的に参加するほか、定期的に自社ウェビナーも開催するという。