SB C&Sはこのほど、SaaS(Software as a Service)ビジネスの拡大に向けた事業戦略説明会を開催した。本レポートでは、SB C&Sの注力事業の一つである「クラウドサービス事業」の戦略について紹介する。
本説明会には取締役副社長 兼 COO 兼 コンシューマ事業本部長の草川和哉氏、執行役員(ICT事業 クラウドサービス推進担当)の守谷克己氏、ICT事業本部 クラウドサービス推進本部長の田中政和氏が登壇した。
リカーリングビジネスへの移行で起こる3つの変化
そもそもSB C&Sは、ソフトバンクグループ企業内の「流通」を担う立ち位置として設立されており、ソフトバンクグループの原点であるIT流通事業をはじめテクノロジーの進化と市場環境の変化を迅速にとらえて事業領域を拡大してきたという。
そんなSB C&Sが、この度、SaaSビジネスの拡大に打って出る。
「ご存知の通り、昨今の経済状況はとても不安定です。新型コロナウイルスの感染が拡大してから3年以上が経過し、以前とまったく同じ暮らしをするのはまだ難しい状況です。また欧米のインフレによる金融の引き締めによりサプライチェーンは混乱し、多くのモノが値上がりしました。いまだに終わらないロシアのウクライナ侵攻もこの一端を担っています」(草川氏)
このような先行き不透明な経済状況が長く続いていることにあわせ、近年では環境への適応のために「IT投資の在り方」が大きく変貌を遂げているのだという。
「少し先の未来を読むのも難しいという現代の状況においてフレキシブルに対応できる『リカーリング』が注目されています」(草川氏)
リカーリングとは、継続収益を得ることを目的としたビジネスモデルを指しており、商品・サービスを一度提供して終わりではなく、継続的に価値を提供することで、その対価として長期的な収益を目指す考え方のこと。
その注目度は高く、同社におけるICT事業のリカーリング収益比も過半数に成長しており、右肩上がりの業績を達成しているという。
同社は、利用型のビジネス(リカーリングビジネス)へシフトしていくことで起こる変化として、「営業先」「販売手法」「顧客との関わり方」の3点を想定している。
このような潮流を受けてSB C&Sでは、リカーリング型ビジネス支援として、サブスクリプション契約・更新管理のための販売パートナー向けのプラットフォーム「ClouDX」で提供している機能に加えて、販売パートナー専用のECストアの立ち上げ機能などを利用できる「ClouDX Platform Edition」を2023年2月にローンチした。
2つのサービスを展開してSaaSビジネスを盛り上げる
またSB C&Sは、2022年9月に本格的なSaaS市場の拡大に対応するため、SaaS専任チームである「Cloud Service Concierge」も発足している。
SB C&Sは同サービスによって、「SaaSビジネスへの取り組み方が分からない」、「営業効率が悪くて悩んでいる」、「営業が既存業務に追われてSaaSを提案するリソースがない」、「SaaSを単体で売っても自社の付加価値を出せない」といった顧客の課題にアプローチしているという。
「『営業が既存業務に追われてSaaSを提案するリソースがない』という課題には、SaaS特化型の営業チームをご提供することで、バイカテゴリーから最適な提案が可能になり、『既存ビジネスを崩さずSaaSという新たな柱を手に入れること』が実現されます」(田中氏)
最後に、田中氏は以下のように説明会を締めくくった。
「これまでSaaSビジネスは不明瞭だと言われてきました。今回、『ClouDX Platform Edition』と『Cloud Service Concierge』という2つのサービスを展開することによって、販売パートナーを支える両輪となりSaaSビジネスを盛り上げていきたいと考えています」(田中氏)