自治体や官公庁などのデジタル化プロジェクトに実績を持つスタートアップ企業グラファーは3月24日、生成AI技術をセキュアかつコンプライアンス、データガバナンスを担保して利用するための統合サービスプラットフォーム「Graffer AI Studio」を開発、クローズドβ版としての提供開始を発表した。

「Graffer AI Studio」(公式Webサイト)

「Graffer AI Studio」(公式Webサイト)

「Graffer AI Studio」は、GPTなどのLLM(Large Language Model:大規模言語モデル)を利用した生成AIを企業内でセキュアに利用するためのサービスで、企業内ユーザー向け利用環境とツールキットが提供される。入力データなどがLLMプロバイダーのモデル学習に利用されることを抑制し、「SAML」「Google」「Azure Active Directory」などに対応するシングルサインオンやユーザーごとの利用権限や利用量の設定が可能になる。そのほか、ユーザーが入力したプロンプトを含むログの取得・保持・監視をする「利用状況のモニタリング」、複数の業務に応用可能な「プロンプトテンプレート集」、使われたプロンプトなどをメンバー間で共有し再利用を促進する「プロンプト共有機能」などを提供する。2021年に経済産業省主導のスタートアップ支援プログラム「J-Startup2021」に選定された同社は、地方自治体などにデジタル行政プラットフォーム「Graffer Platform」を提供するなどセキュリティやコンプライアンスを重視したサービスを提供。AI技術利用に関するセキュリティやコンプライアンス上の問題点について弁護士等の外部顧問とともに、生成AIの適正な利用のために必要な社内ルールを作成し、生成AIを効果的に活用するためのプロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering:入力文を調整することでAIの精度を向上させる技術)に社内を上げて取り組む。これらの知見が「Graffer AI Studio」開発に生かされいるという。

サービスは、今後クローズドベータ版として」一部の企業に提供を行い、将来の正規サービスリリースに向けて準備を進める。