「ChatGPT」がAIブームを巻き起こし、MicrosoftやGoogleが対応を進めているが、ここで目立った動きがないのがAppleだ。そんな同社だが、社内のエンジニアが「言語生成コンセプト(language-generating concepts)」をテストしているようだという。

Appleは2月に年次の社内イベント「AIサミット」を開催。このイベントは、GPTなどの大規模言語モデルやそのほかのAI技術にフォーカスしており、音声アシスタント「Siri」を含む多くのチームが参加した。Apple社内では、多くのエンジニアが「言語生成コンセプト(language-generating concepts)」に取り組んでいるという。

同社は、Google、Amazonなどとともに音声アシスタントで先駆けていたが、現在のAIブームは大規模言語モデルをベースとしており、音声アシスタントとは異なる。

元Appleのエンジニア、John Burkey氏は、この10年間コードが整備されていないことから基本的な機能アップデートに数週間かかるなどの技術的ハードルに直面してきたとNew York Times紙に明かしている。

Siriのデータベースは20以上の言語による巨大な単語リストがあり、単語を追加することはデータベースの再構築を要するなど大変な作業だったようだ。「SiriがChatGPTのようなクリエイティブなアシスタントになる方法はない」とBurkey氏は述べている。

同紙はまた、AmazonとGoogleについても、人々が音声アシスタント技術をどのように使うのかの予測を見誤り、投資の成果がほとんど得られなかったとする。実験に失敗した後、2社は熱意を失ったという。

「チャットボットに対する熱狂は、かつて同じような盛り上がりを巻き起こしたSiri、Alexaその他の音声アシスタントがAIの競争でリードを失ったのかを物語っている」と同紙は記している。なお、Appleがテスト中と言われる言語生成コンセプトについて、同社はコメントを控えている。なお、一連の報道は3月15日付のNew York Timesが報じている。