デル・テクノロジーズ(以下、デル)は3月14日、昨年度の決算発表を振り返るとともに、アジア地域における新年度のビジネスの見通しについて語る記者向けのラウンドテーブルを東京都内のオフィスで催した。
米デルが3月2日(現地時間)に行った発表によると、2023会計年度(FY23:2022年2月~2023年1月)の売上高は前年から1%増となる1023億ドルを達成した。営業利益は前年比24%増の58億ドル、非GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)ベースの営業利益は前年比11%増の86億ドル。
ビジネスユニットごとに振り返ると、ストレージやサーバ、ネットワークなどコア領域であるISG(Infrastructure Solution Group)での売り上げ増が顕著だという。第4四半期の売上高は99億ドルで、8四半期連続で右肩上がりの成長となった。サーバおよびネットワークのみの売上高は前年同期比5%増の49億ドル、ストレージのそれは同10%増の50億ドルだ。
一方のCSG(Client Solution Group)は苦戦が見られた。FY23通年の売り上げは前年から5%減となる582億ドル、営業利益は12%減となる38億ドルとなった。第4四半期の売り上げは前年同期比で23%減の134億ドルだ。
ここで、グローバルのセールスチームを統括するJohn Byrne(ジョン バーン)氏は「現在はクラウドの適切な利用に関する話題が増えている。オンプレミスとオフプレミスのどちらが優れているかという議論はすでに終わり、複数のクラウドを適切に運用する方針へと移っている」と市場の動向について説明した。
同社はPowerFlexやAPEXにより、ハイパーバイザーやコンテナを選ばないアプリケーションの運用を支援するという。
市場のもう一つのトレンドは、ハイブリッドワークを含めた自由な働き方とのことだ。データ量が爆発的に増える中で、組織やサプライチェーン全体、データセンターのセキュリティマネジメントが重要視されるようになっているという。
こうしたトレンドをつかみながら、同社は過去3年間でR&D(研究開発)へ76億ドルの投資を実施し、FY23の第4四半期には2万8738件の特許を申請した。同社のPCやストレージ、サーバなどコア領域の市場規模は7200億ドルで、今後成長を狙うエッジや5G(第5世代移動通信システム)などの新規領域のそれも同程度だ。
さらに、ESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンスの頭文字を取ったもの)にも注力する。現在のところ、デルが利用する梱包材のうち約90%が環境に配慮した素材を使用しているという。John Byrne氏は今後これを100%とする方針を示していた。なお、同社は2050年までに温室効果ガス排出ネットゼロ(正味ゼロ)にする目標を立てている。
人材活用においては、2030年までにグローバルで全社員の50%、リーダー層の40%を女性にする目標を掲げている。また、アメリカでは社員の26%、リーダー層の15%をマイノリティで構成するとのことだ。すでにこれらの人材の活用状況を可視化する取り組みに着手している。
デルでアジア太平洋地域のプレジデントを務めるPeter Marrs(ピーター マース)氏は「デルがEMCと合併してから、日本で約2倍の成長を遂げてきた。日本は世界でも2番目に大きなICT市場を持っている国であり、エッジ、5G、マルチクラウド、サイバーセキュリティ、未来の働き方に対して当社のAPEXで支援し、これからまたさらに成長していきたい」とコメントした。