三井不動産は3月10日、複合施設「東京ミッドタウン八重洲」をいよいよグランドオープンする。「東京ミッドタウン(六本木)」、「東京ミッドタウン日比谷」に続く3施設目の東京ミッドタウンブランドである同施設は、JR「東京駅」と直結しており、延床面積は29万平方メートル(2棟合計)、地上45階(高さ約240メートル)の大規模複合ビルだ。

  • 東京ミッドタウン八重洲の外観

    東京ミッドタウン八重洲の外観

地下駐車場から八重洲地下街経由で首都高速にもアクセスでき、羽田空港までは車で約15分で到着する。商業施設には多様な飲食や物販を計57店舗そろえ、2023年4月には日本初進出の「ブルガリホテル東京」が開業する。同社は施設全体で年間約1000万人の来街者を想定している。

  • 商業施設エリア

  • 商業施設エリア

3月7日に開かれた記者会見で三井不動産 代表取締役社長の菰田正信氏は、「東京ミッドタウン八重洲を、世界中の人と交わることができる日本のゲートウェイにしていきたい。そして、ポストコロナ時代の『行きたくなるオフィス』を実現し、リアルとデジタル技術を最適に組み合わせ、働き方を支援していく」と、意気込みを語った。

  • 三井不動産 代表取締役社長 菰田正信氏

    三井不動産 代表取締役社長 菰田正信氏

中心部にある「八重洲セントラルタワー」の7~36階がオフィスフロアで、1フロアあたりの床面積は約4000平方メートルと東京駅周辺で最大級の広さとなっている。すでに全フロアの入居が決まっており、三井化学や住友生命保険、ダイキン工業、M&Aキャピタルパートナーズなどの企業が同施設にオフィスを構える。

東京支社を移転するダイキン工業の総務部 課長の小菅彩香氏は、「ヒト・モノ・コトすべてが集結する八重洲という地に魅力を感じていた。東京ミッドタウン八重洲が掲げる未来に向けた価値創造に共感し入居を決めた。オフィス空間のシミュレーションや空気の見える化など、当社ならではのオフィスにしていきたい」と述べていた。

  • ダイキン工業 東京支社・総務部総務グループ 担当課長 小菅彩香氏

    ダイキン工業 東京支社・総務部総務グループ 担当課長 小菅彩香氏

「行きたくなるオフィス」の仕掛けとして、入居企業向けのフィットネスジムやラウンジに加えて、シェアオフィスを用意。

  • シェアオフィス

    シェアオフィス

  • フィットネスジム

    フィットネスジム

また、4~5階にはビジネス交流施設「イノベーションフィールド八重洲」がある。同施設は国内外のビジネスパーソンが交流し、学び、協創することで都市や地域にイノベーションを起こすことを目指している施設だ。イノベーションに必要な「場」と地域や産業分野を超えた共創に必要な「機会」を提供していくとのこと。

具体的には、イノベーションを支える「場」として、最大378人まで収容可能な貸会議室「東京ミッドタウン八重洲カンファレンス」や、イノベーションの協創空間「テンポラリーオフィス」、日本各地のキーパーソンや組織の情報を発信する「交流ラウンジ」などを提供する。

  • イノベーションの協創空間「テンポラリーオフィス」

    イノベーションの協創空間「テンポラリーオフィス」

  • 日本各地のキーパーソンや組織の情報を発信する「交流ラウンジ」

    日本各地のキーパーソンや組織の情報を発信する「交流ラウンジ」

  • 東京駅が一望できる屋上テラス

    東京駅が一望できる屋上テラス

そして、地域や産業分野を超えた共創の「機会」として、社会人向け人材育成プログラムを提供する東京大学の都心サテライト拠点「東京大学八重洲アカデミックコモンズ」や、三井不動産と経済メディア「NewsPicks」による地域経済創発プロジェクト「POTLUCK YAESU」などを提供する。

「POTLUCK YAESU」は、高頻度(月2回程度)の交流イベントや、300名規模の大型カンファレンス、交流ラウンジにおける展示・情報発信を通じて、日本各地の新産業の創造や既存産業の活性化に取り組むイノベーターのつながりを加速させ、日本経済の活性化に寄与することを目指す。

  • 交流ラウンジにおける展示

    交流ラウンジにおける展示

また、東京ミッドタウン八重洲では、最先端技術の活用による働き方の支援も行っている。感染症対策だけでなく、利便性の向上を図るため、「完全タッチレスオフィスの導入」や「ロボットによるフードデリバリーサービス」に加え、「全フロア5G対応」、「メタバース会議室の設置」、「AI防犯カメラの導入」など、さまざまなテクノロジーをフル活用している。

  • 顔認証による入館

    顔認証による入館

  • エレベーターのボタンもタッチレスに

    エレベーターのボタンもタッチレスに

  • 周辺の飲食店の料理を運ぶデリバリーロボット

    周辺の飲食店の料理を運ぶデリバリーロボット

そのほか、BCP(事業継続計画)をサポートするため、周辺エリアへ電気と熱を供給するエネルギセンターを地下4階に設置。さらに、同社が掲げている「グループ全体の温室効果ガス排出量を2050年度までにネットゼロ」という目標を達成するため、EV充電器の設置やグリーン電力の導入などさまざまな施策を打っている。

  • 地下4階にあるエネルギセンター

    地下4階にあるエネルギセンター

同社は今後、八重洲エリアのさらなる開発に加えて、日本橋川沿いのエリアの再開発も進める考えだ。菰田氏は、「今回の東京ミッドタウン八重洲がわれわれの集大成ではない。東京駅東側エリア全体を連携させ、世界が誇る東京へ進化を遂げていきたい」と会見を締めくくった。

  • 東京ミッドタウン八重洲の外観(夜)

    東京ミッドタウン八重洲の外観(夜)