プライム・ストラテジーは2月22日、東京証券取引所スタンダード市場に新規上場した。午前中には、東京証券取引所において、上場セレモニーが行われ、テレビなどでおなじみの鐘は5回鳴らされた。5回という回数は、「五穀豊穣」に由来している。
採用上のプレゼンスと取引先からの信頼を向上するため上場
午後には、上場に伴う記者説明会が開催され、中村氏が提供しているサービス、業績の動向と見通し、今後のビジネスの展開を紹介した。同氏は今回、上場した理由について、次のように語った。
「KUSANAGIを出してビジネスモデルが変わってきたとともに、パートナーがグローバルなクラウドプラットフォームのプロバイダーとなり、ハッカータイプのエンジニアが必要になってきた。採用上のプレゼンス、取引先との信頼関係にギャップが見られるようになってきたことから、上場に踏み切った」
同社はCMS実行環境「KUSANAGI」をはじめとしたコアとなる製品の開発を行うほか、AIや自動化を活用したサービスを展開している。
事業は大きく3つに分けられる。ストック型ビジネスのライセンス事業は売上比率が15%となっている。同様にストック型ビジネスの「KUSANAGI」のマネージドサービスは売上比率が70%と同社の主力ビジネスとなっている。一方、フロー型ビジネスのクラウドインテグレーションサービスは売上比率15%となっている。
中村氏は起業当初はフロービジネスを中心に展開していたが、2015年に「KUSANAGI」の提供を開始してから、サブスクリプションビジネスに事業を転換し、第2創業期に至ったと説明した。
2022年度は7.7億円の売上高と2.9億円の経常利益が見込まれており、2023年度は9.2億円の売上高と3.3億円の経常利益を予想している。
中村氏は同社の優位性について、「当社は ハイパーオートメーション(AIなどを用いた高度な自動化)を自社業務に適用して高い生産性を実現しているとともに、OSからAIまで開発できる体制を築いており、強みは知的資本にある。その結果、高い利益率を達成するとともに、高付加価値を提供できる」と語った。
今後のビジネスを支える3つの軸とは
今後のビジネスの展開としては、高い利益率を有するグローバルソフトウェアとしての成長を目指す。この目標に向けては、既存事業である「KUSANAGI」のマネージドサービス、海外でのライセンス展開、新規事業のハイパーオートメーションが軸となる。
中村氏は、「KUSANAGI」のマネージドサービスについて、「CMSは容易に利用できるようになった反面、ガバナンスの確保から一元管理したいというニーズに応えていく。CMSプラットフォームは収益性が高いため、今後も注力する」と述べた。
また、ライセンスビジネスについては、Web高速化エンジン「WEXAL Page Speed Technology」と戦略AI「ONIMARU David」の国際特許を出願中であり、年内に成立の見込みだという。「これを機に、海外でもライセンスビジネスを展開していきたい」と、中村氏は意気込みを見せた。
新規事業となるハイパーオートメーションはKUSANAGI Cloudで培ったテクノロジーであり、現在は社内で活用されている。今後は、顧客にも展開し、新たな事業として育てていく構えだ。