さくらインターネットはこのほど、DMM.make AKIBAで「さくらとヤマト運輸がSlackでコラボ!アプリ発表会 in さくらの夕べ」を開催した。本稿では、さくらインターネット 技術推進統括担当 執行役員 兼 最高情報セキュリティ責任者(CISO) 兼 最高情報責任者(CIO)の江草陽太氏と、ヤマト運輸 フィールド営業統括部 営業支援グループ シニアマネージャーの上本佳史氏の対談を紹介する。
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左からさくらインターネット 技術推進統括担当 執行役員 兼 最高情報セキュリティ責任者(CISO) 兼 最高情報責任者(CIO)の江草陽太氏と、ヤマト運輸 フィールド営業統括部 営業支援グループ シニアマネージャーの上本佳史氏
さくらインターネットでは、1月末にヤマト運輸と連携し、Slackで宅急便の集荷依頼や発送手続きがワンストップで行えるアプリケーションを発表しており、2月8日から提供を開始している。
同アプリは匿名配送にも対応しており、氏名や自宅の住所などを知らせずとも荷物の発送や受け取りが可能だ。以下は両者の対談の模様だ。モデレーターはさくらインターネットの担当者が務めた。
--どのような経緯で開発に至ったのでしょうか?
江草氏(以下、敬称略):最初は、ヤマトビジネスメンバーズ(※1)のWebサイトからAPIの申し込みをしました。
もともとは新型コロナウイルスの影響により、社内向けに開発し、社内のみで利用していました。当社は、社員同士が住所を共有することが難しいことから、匿名化して名刺などの荷物を郵送したいという総務部からの要望でした。
完成後に、分散型SQLデータベースのTiDBを開発するPingCAPさんのイベントで偶然にもヤマト運輸さんがおり、アプリを作成したので一緒にやりましょうとお声がけしたのが昨年の11月です。こちらから話を持ち掛けたときは、どのように感じましたか?
※1 法人を対象にした送り状作成から発効まで宅急便を利用できるサービスなど、関連業務の手間を削減してビジネスの効率化から拡大支援まで行うWebサービス。
上本氏(以下、敬称略):新しい取り組みに対して、検討のための時間を少しいただきましたが、世の中が大きく変化する中でユーザーにとって便利かつストレスフリーな発想だったため、是非やらせていただこうと思いました。
江草:当社自体はサーバインフラを提供する会社のため、一般的に使えるサービスを持っていなかったため、このようなヤマト運輸さんとサービスをリリースできたことは楽しい経験でした。
ヤマト運輸さんはSlack以外にもMicrosoft TeamsやLINE WORKSでも同様の取り組みをされていますが、DX(デジタルトランスフォーメーション)の観点からこのようなサービスへの取り組みはどういうものですか?
上本:新型コロナウイルスの感染拡大に伴う在宅勤務の中で、いかにユーザーにとって便利なサービスを提供するかということが1つあります。そして、もう1つが当社はセールスドライバーで成り立っていることから、業務の効率化を狙っています。
そのため、技術的なところも重要ですが、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)と働き方という観点で取り組んでいます。
江草:そうですね、クロネコメンバーズ(※2)とも連携できるといいなと個人的には思っています。
※2 クロネコヤマトの会員サービス。「お届け予定通知」や「ご不在通知」「LINE公式アカウント」で荷物の届け予定や不在時の届けを連絡し、その場で受け取り日時や場所を指定できる。
--開発に際して苦労した点などはありますか?
江草:開発に際しては、実際に荷物を出さないとAPIから返ってくる荷物のステータスが、どのように変わるのか不明でした。
ただ、こちらから動かせる試験環境を提供していただいていましたが、動かしても本当に変更されいるのかは分からないことから、Slack上でのUIの動きを実装することは大変でしたね。
上本:当社としては、一度お話をいただいたときと社内で利用しているのを見た際に、これはイケると確信しました。
特に宅急便で荷物の発送時は送り状を手書きしたり、持ち込んだり、支払いだったりなどがストレスに感じるものですが、解消されていて使い勝手の良いものだと思います。そのため、問題点はありませんでしたね。
-- こういう使い方をしてほしいなどはありますか?
上本:大企業から中小企業の法人、個人まで利用できるので、さまざまなビジネスのシーンで利用されるのではないかと考えています。
江草:仰る通り、数人から大企業でも利用できます。今回のアプリには「発送用途」の項目をあることから、大企業になると「どの荷物が、どこの予算なのか?」ということを把握・管理するために、人事部や総務部といった部署ごとなどを発送用途の項目で設定すれば可視化できます。この機能はヤマト運輸さんのお客さまのご要望で機能開発しています。
上本:さくらインターネットさん、Slackさんとともに開発したサービスなので是非利用していただきたいです。また、パートナーシップを強化して“新しい便利”を提供できればと考えています。