リコーは2月6日、A3フルカラー複合機の新製品7機種16モデルを2月14日より販売開始することを発表した。ラインアップに追加されるのは「RICOH IM C6010」「RICOH IM C5510」「RICOH IM C4510」「RICOH IM C3510」「RICOH IM C3010」「RICOH IM C2510」「RICOH IM C2010」だ。
リコーは、複合機がオフィスの中でもアナログとデジタルをつなぐ接点になるとしており、新製品によって業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を支援することを狙っている。新製品はエッジデバイスとしての機能を強化したとのことで、名刺や領収書などの小サイズ原稿の読み取りにも対応している。
また、同社が展開する共創プラットフォーム「RSI(RICOH Smart Integration)」を介して、有償アプリケーション「RICOH kintone plus」などのさまざまな業務アプリケーションと複合機を連携することで、電子化した文書の管理・保存など業務のワークフロー全体の効率化が見込めるようだ。
新製品の開発コンセプトは「入出力機能を強化」「強固なセキュリティ」「環境性能」の3点。以下に、各項目の詳細を紹介する。
コンセプト1:業務効率化を支援するために入出力機能を強化
2022年度版の『中小企業白書』によると、中堅・中小企業のデジタル化の取り組み状況について、2021年時点で「ビジネスモデルの変革や競争力を強化中」とする企業は10.2%であり、46.7%が「業務効率化やデータ分析のデジタル化を推進中」、43.1%が「デジタル化が図られていない」と回答している。こうした調査結果からも、今後まさに中堅・中小企業でのデジタル化が拡大すると思われる。
そうした中、リコーは複合機をはじめとするエッジデバイスに加えて、アプリケーションやサービスも含めた価値提供によって、中堅・中小企業の業種ごと、または業務ごとの効率化の支援を目指す。
リコージャパンでオフィスプリンティング事業センターのセンター長を務める石井晃氏は「エッジデバイスの中でも、最も重要な役割を担うのが複合機だ。複合機はアナログな情報とデジタルな情報をつなぐ接点になるので、いわばDXにおける情報の出入り口」と述べ、新製品開発がもたらす価値について説明した。
新製品は業務効率化を支援するべく、ADF(Auto Document Feeder)が強化されている。従来はガラス面から1枚ずつ読み取っていた名刺や領収書などの小サイズ原稿や、薄紙、厚紙などをADFから直接読み取れるようになった。
また、1パスADF(両面自動読み取り)の機能も強化しており、片面では1分間に150ページ、両面では1分間に300ページと、それぞれ前身機よりも約25%ほど機能が向上している。
新製品は「RICOH 証憑電子保存サービス」と連携することで、読み取った書類を電子帳簿保存法の要件(電子取引要件、スキャナ保存要件)に沿った形で保存可能になる。また、「RICOH 受領請求書サービス」との連携により、電子帳簿保存法の対応に必要な情報をAI-OCR(Optical Character Recognition/Reader:光学文字認識)により読み取れるため、業務効率化に寄与するとのことだ。
新製品はデジタルからアナログへの出力についても機能を強化している。胴内に装着可能なインナー紙折りユニットを強化したことで、3枚までの重ね折りにも対応。請求書の「かがみ」「明細」や、折込チラシなどを重ねて折れるようになり、封入作業の効率化が見込めるという。
また、「針なしとじ」機能も強化した。従来は1カ所のみの針なしとじが可能だったが、新製品では2カ所まで可能となった。教育施設に加えて、病院や福祉介護施設などでの要望の高まりに対応するものだ。針を使わないので、使用後の文書を廃棄する際にもシュレッダーにそのまま投入できる。
コンセプト2:強固なセキュリティ
新製品は暗号化通信プロトコル「TLS1.3」のほか、ストレージなどの暗号化に使われる「TMP2.0(Trusted Platform Module)」、Wi-Fi Allianceが採用している無線LANの暗号化方式の規格である「WPA3(Wi-Fi Protected Access)」に対応する。また、米国のセキュリティガイドラインである「NIST SP800-171」で求められている機能も搭載しているとのことだ。
リコーが2019年から提供しているサービス「RICOH Always Current Technology」にも対応。これは複合機を常に最新の状態で使えることを目的とした同社のセキュリティサービス。同サービスの活用により、機器の導入後にも最新のセキュリティ機能を継続的に提供する。
コンセプト3:脱炭素社会および循環型社会に資する環境性能
今回発表した新製品では、原材料の調達から、生産、輸送、使用維持管理、廃棄リサイクルの各段階で環境負荷低減を目指したという。製品のライフサイクル全体で換算すると、カーボンフットプリントを約27%削減し、二酸化炭素排出量を年間で約8万8000トン削減できる見込みとのことだ。
原材料においては、複合機本体の樹脂量に対して50%以上の回収材(再生プラスチック)を使用している。前身機では約6%だったとのことで、大幅な再生プラスチック使用料の増加となった。これにより、年間では約5600トンの回収材を使用する。
また、輸送時の梱包材には従来の発泡スチロールではなく、古紙由来の紙製梱包材を採用した。衝撃シミュレーション技術により高い緩衝性能を確認しているという。前身機の輸送に採用していた発泡スチロールと比較して、プラスチック廃棄量を約54%削減できるようで、年間あたり約260トンの削減量となる試算だ。
インクトナーのボトルについても、環境への貢献を図っている。トナーボトルのリユースはこれまで同様取り組むが、新製品ではトナーの防湿性能を向上したことで、包装材が不要となった。これだけでも年間のプラスチック廃棄量を76トン減らせるという。
また、新製品に搭載するトナーは低融点のトナーを採用。印刷時の定着下限温度を以前よりも12度低下させたことで、消費電力を抑えている。さらに、省エネ制御マイコンを搭載したことで、待機時の省エネ性能も向上した。TEC(Typical Electricity Consumption:標準消費電力量)換算で前身機よりも10%低減しているそうだ。
主な仕様と機能は以下の通り。
品名 | モデル数 | 連続複写速度 | 標準価格(税別) |
---|---|---|---|
RICOH IM C6010 | 2モデル | 60枚 / 分 | 2,700,000円~ |
RICOH IM C5510 | 3モデル | 55枚 / 分 | 2,190,000円~ |
RICOH IM C4510 | 3モデル | 45枚 / 分 | 1,910,000円~ |
RICOH IM C3510 | 2モデル | 35枚 / 分 | 1,670,000円~ |
RICOH IM C3010 | 2モデル | 30枚 / 分 | 1,430,000円~ |
RICOH IM C2510 | 2モデル | 25枚 / 分 | 1,210,000円~ |
RICOH IM C2010 | 2モデル | 20枚 / 分 | 1,052,000円~ |