西松建設は2月2日、ネクステラスと共同で、山岳トンネルにおける無人化施工を早期に実現するため、遠隔運転の操作練習が利便性良く行える仮想現実(VR)コンテンツを製作したと発表した。

  • トンネル坑内に置いた同社の遠隔運転席の事例

今回、製作された遠隔運転練習システムは、遠隔運転席までも仮想現実としたことが特徴となっている。仮想現実の遠隔運転席から別の仮想現実の建設機械を遠隔運転する、すなわち二つの仮想現実空間を連携して動作するシステムとすることでこれを実現しているという。

具体的には、遠隔運転席を仮想現実に収めたあと、遠隔運転席のモニター画面にもう一つ別に用意する仮想現実をはめ込んで、建設機械と練習場所はこちらに収めることにより、遠隔運転席を実物で用意することは避けてコストと利便性の問題を解消し、本番の遠隔運転席に没入体験できることで練習の用をなすという仕組みとなっている。

  • システムの全体構造

遠隔運転には、「操作器を操作してもすぐに建設機械が反応しない」「モニター画面では視野が限られる」などの、独特な運転感覚が付きまとうという課題があり、遠隔運転の技術を習得しようとする者は、練習でその感覚に慣れておく必要があり、その練習環境の提供が以前より求められていたという。しかし、練習用に遠隔運転席、遠隔運転に対応した建設機械、練習場所の3点セットを臨機に用意できるケースは少なく、練習が簡単に行えない問題が存在していたとのことだ。

同社は、遠隔運転の建設機械を用いた工事施工の市場拡大とともに、そう遠くない将来、遠隔運転の練習も日常的な光景になるとして、今回の制作を通じて、練習のハードルを下げ、遠隔運転者の要員養成のすそ野を広げていきたい考え。