パナソニックが2月2日に発表した2022年4〜12月期連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比17%減の1628億円、売上高が15%増の6兆2245億円だった。

新型コロナウイルス感染症の拡大が落ち着いた影響もあり、航空機関連のエンターテインメントシステムなどの需要が回復、自動車生産の回復を受けて自動車部品関連も回復した。一方で、2023年3月期の連結純利益が18%減の2100億円との見落としを発表した。従来予想から250億円下方修正し、今期の業績予想の下方修正は2022年10月に続いて2度目となる。データセンター投資の抑制や原材料高騰の影響を受け、電子部品関連事業と電池事業の収益が悪化した。

同日開催された決算発表会で、取締役専務執行役員グループCFOの梅田博和氏は「(中国を中心とするICT端末やFA、グローバルにおける環境車を除く車載などの市況低迷の影響を受けた」と説明した。

  • パナソニックHD 取締役専務執行役員グループ CFO 梅田博和氏

    パナソニックHD 取締役専務執行役員グループ CFO 梅田博和氏

  • パナソニックHD 2022年度第3四半期 連結業績

2022年度の営業利益は前年比22%減の2800億円になる見通し。売上高は前年比11%増の8兆2000億円と従来予想を据え置いた。売上高は据え置いているが、為替を除く実質ベースでは800億円減少している。特にインダストリーとエナジーが営業利益見込みの下方修正の要因になっている。

インダストリーでは、中国の市況 (ICT端末やFA機器) や、グローバルでの車載生産が急速に悪化し、為替影響を除く実質売上もそれに伴い悪化した。特に、ノートPCがクリスマス商戦不振の影響で2022年の生産台数が大幅に下振れし、営業利益を110億円の下方修正とした。

エナジーでは、産業・民生分野が急速な需要減で80億円、車載分野が原材料高騰の影響を受け70億円それぞれ下方修正した。

  • パナソニックHD 2022年度 連結業績見通しの修正

米国カンザス州に2024年度中に新設する予定の車載電池工場に関しては、25年3月期までの3年間で5000〜6000億円程度の投資を予定。そのうちグループとしての資金対応(事業会社の資金力を超える部分)は4000億円以下になる見込み。投資資金は営業CF・資産売却などにより対応していく方針としている。

また、中長期的な市場拡大が見込まれるSCM(サプライチェーンマネジメント)事業をグローバルに向けて事業成長を加速させていく考え。傘下のブルーヨンダーは新CEOのもと、さらなる成長に向け強固な組織体制の確立していく。ブルーヨンダーを中心としたSCM事業の株式上場も引き続き検討していくとのことだ。