日本電信電話(以下、NTT)と横浜国立大学は1月25日、「海域での大気海洋観測データを活用した台風予測手法に関する研究」についての共同研究契約を締結したことを発表した。両者は今後について、双方の強みを生かし、超広域大気海洋観測技術による台風のリアルタイムな観測を実現し、台風予測精度の向上を目指すとしている。

  • 締結式の様子

    締結式の様子

NTTは海域でのリアルタイムな観測データの充実を進めており、2021年には海域での大気・海洋観測を試験的に実施、2022年からは本格的な台風観測を開始している。また、「宇宙統合コンピューティング・ネットワーク」事業に向け、低軌道衛星や成層圏に浮かぶHAPS(High Altitude Platform Station)などとの通信に適したセンシングシステムの開発を進める。

一方の横浜国立大学は、2021年10月に台風専門の研究機関「TRC(Typhoon Science and Technology Research Center:台風科学技術研究センター)」を設立。業界第一線級の研究者や実務家らが集まり、台風予測技術の研究に取り組んでいる。TRCでは台風観測や台風予測に加えて、台風制御や台風発電など複数の研究テーマに取り組んでおり、台風エネルギーの活用にも挑戦中だ。

今回の共同研究では、NTTの台風直下での大気海洋観測データをTRCの台風予測モデルに組み込み、予測精度の向上が実現できるかを検討する。台風予測モデルからの逆推定により予測結果の向上が見込まれる観測領域候補を抽出するほか、観測領域候補に基づく観測計画の策定なども実施する予定。