Tableauは1月18日、説明会を開催し、初来日した TableauのSenior Vice President & General ManagerであるPedro Arellano(ペドロ・アレヤノ)氏が、分析市場の現状、新機能を含めたTableauの製品戦略ならびにロードマップ、セールスフォース製品との統合状況などについて説明した。

同説明会には、アレヤノ氏のほかに、セールスフォース・ジャパン Tableau事業統括 常務執行役員 カントリーマネージャーの佐藤豊氏と同社マーケティング本部 プロダクトマネージャーの深田紘平氏が登壇し、最新製品のデモを行い日本におけるデータ活用の現状について語った。

本稿ではその一部始終をお届けする。

  • 左からTableau Senior Vice President & General ManagerのPedro Arellano氏、セールスフォース・ジャパン Tableau事業統括 常務執行役員 カントリーマネージャーの佐藤豊氏、同社マーケティング本部 プロダクトマネージャーの深田紘平氏

分析は新たな段階へ

Tableauは、BI(ビジネスインテリジェンス)に特化したインタラクティブなデータの視覚化ツールを提供しているソフトウェアベンダーで、セールスフォース・ジャパンに買収されてからは、セールスフォースのTableau事業部として事業を展開している。

初めに佐藤氏が登壇し、日本におけるデータ活用の現状について、「分析は新たな段階へ進むフェーズに来ている」と語った。

「対話機能」「価格競争」「どこでもダッシュボード」「アクションにつながらないレポート」といった機能は、コモディティ化(市場参入時に、高付加価値を持っていた商品の市場価値が低下し、一般的な商品になること)してしまっており、価値が低下してきていることは否めないという。

「しかし、セールスフォースはTableau事業を通じてビジネスユーザーにデータを解き放つ新たな段階にいけると確信しています」(佐藤氏)

  • セールスフォースにおけるTableau事業を紹介する佐藤氏

そこで、同社が注力する点として挙げられたのが、「新たな顧客体験」「革新的な値付け」「具体的なビジネス価値による分析の価値の訴求」だ。

アナリティクスの導入が進まない3つの理由

続いて登壇したアレヤノ氏は、最初に以下のように述べた。

「BIアナリティクスが変革を迎えているこの時に、Tableauに携われていることを光栄に思っています。経済状況・市場動向を見てもその重要性が高まっていることは一目瞭然です。現代は、気候変動問題や新型コロナウイルスの流行など、さまざまな課題が山積しています。このような時代だからこそ、課題が山積している海を突き進むにはコンパスが必要なのです。そして私は、『アナリティクス』こそがそのコンパスになりうると考えています」(アレヤノ氏)

  • BIアナリティクスの現状を語るアレヤノ氏

アレヤノ氏はそう述べた一方で、モダンBIがビジネスユーザーの要求を満たしていないという現状があるため、アナリティクスの導入がなかなか進んでいないという点も指摘した。

「アナリティクスの導入が進まない理由には3つの課題があると考えています。1つ目は、『信頼性と正確性の欠如』。企業では平均で976個もアプリケーションが導入されていると言われており、その莫大な量のデータを理解することに課題があるほか、どのデータを信じていいのか分からないという正確性の欠如も大きな障壁です」(アレヤノ氏)

また、アレヤノ氏は2つ目の課題として「活用の行き詰まり」を挙げた。ある調査によると、会社内の30%程度の人しかデータを活用していないのだという。

ここには、ビジネスユーザーが簡単にデータを収集し、使用できる仕様になっていないという問題が存在している。

「最後の課題は、『BIから出てきたインサイトをアクションにつなげられない』ということです。従来のレポートでは、アクションにつながらない結果がほとんどです。また、アクションに移すためには新たな手順を踏む必要があることも多く、データの活用にまで至っていないのが現状です」(アレヤノ氏)

しかし、この課題が多い状況をセールスフォースはチャンスと捉えているようだ。

「BIアナリティクス業界はこれまで『データアナリスト』に向けてシステムを提供してきました。新しい言語を投入することによって、データアナリストたちの業務をサポートし、業務効率化に貢献してきました。ところが世界は変化しました。現代では、アナリスト以外にも自分の業務を進める上でデータが必要な人が多くなったのです。しかし、その価値を引き出すことができている人は少ないのが現状です。『データを活用したい』つまり『インサイトが欲しい』というビジネスユーザーの想いを叶えるため、データアナリストのために新たな言語を生み出したように、ビジネスユーザーのために新たな言語を生み出すフェーズになっていると、われわれは考えています」(アレヤノ氏)

「データドリブンな企業」を増やすための3つのポイント

続いてアレヤノ氏は、今後データドリブンな企業や増やしていくには3つのポイントがあると語った。

「1つ目のポイントは、『ビジネスユーザーの積極的な参加を促すことでリーチできていなかった層にアプローチ』することです。システムをパーソナライズして個人の業務に直結するシステムを提供することで、日常的にデータの活用を行っていない部門のユーザーも活用できるようにする必要があります」(アレヤノ氏)

2つ目として挙げられたのは、「組織の中にあるデータを1つにまとめる」ということだ。前述したように、企業は平均で976個もアプリケーションを導入しているとも言われており、その膨大なデータ量と正確性の欠如には大きな課題が存在する。そこで、データを一括でまとめ、信頼性の高いビューにしていくことで活用を促すことができるのだという。

そして、3つ目は「インサイトとアクションの乖離を埋めていく」というポイントだ。あらゆるワークフローにアナリティクスを組み込むことで、ビジネス上の成果を上げることを支援することが必要になってくるという。