新潟大学は12月16日、数値計算モデルと合成開口レーダー(SAR)衛星画像から判定した浸水範囲を用いて、西アフリカに位置するガーナ共和国(以下「ガーナ」)のホワイトボルタ川で2020年に発生した洪水を再現したことを発表。また、温暖化後の環境下におけるガーナ北東地域の降雨量・河川流量・氾濫による浸水面積の変化を予測した結果、その浸水域はSAR画像と良好に合致し、河川流量の定点観測値が取得できない地域を対象とした河川流域氾濫の研究が行えることを示したと併せて発表した。

加えて、政府間パネル第6次評価報告書における、気候政策がなく最も温暖化が進行するという「SSP5-8.5シナリオ」に基づく気象条件下では、大気温度および相対湿度の上昇によって、平均降雨強度が増加する可能性があることが算定されたことも発表された。

同成果は、新潟大大学院 自然科学研究科の高山遼太大学院生、新潟大 自然科学系(工学部)の中村亮太准教授、早稲田大学 理工学術院総合研究所のミゲル・エステバン教授、横浜国立大学 都市科学部都市基盤学科のマーティン・マエル助教、新潟大大学院 自然科学研究科の大泉洸太大学院生(研究当時)らの共同研究チームによるもの。詳細は、水文学に関する全般を扱う学術誌「Journal of Hydrology: Regional Studies」に掲載された。

深刻な降雨に伴う流域氾濫は、将来の温暖化が進行した気候下においてより激甚化する恐れがあり、人命や経済に深刻なダメージを与えることが懸念される。温暖化が進行して気温が上昇すると、大気がより多くの水蒸気を保有できるようになるため、大量の降水などの異常気象を発生させることが予想されている。

しかし、このような事象の特性は地理および気象条件によって異なるため、地域ごとの事例研究によって評価を行う必要がある。中でもアフリカ大陸は、ほかの大陸と比較して洪水発生時の死亡率が高いにも関わらず、河川洪水の数値計算の研究は充分に行われていない状況にあるという。その要因としては、洪水シミュレーションに必要な河川流量などの観測データの取得が難しいことが挙げられる。