経済産業省傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は12月12日、2021年度から建設・整備を進めていた「福島水素充填技術研究センター(Fukushima Hydrogen Refueling Technology Research Center)」(福島県・浪江町)の運用を始めたことを公表した。
福島水素充填技術研究センター(図1)は、隣にある福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)で製造した水素ガスを大型の燃料電池搭載トラックなどの“大型・商用モビリティー”車両などに約10分で充填する技術を確立させることを目指した施設となる。
この技術確立のためには「大流量水素充填技術や大流量水素計量技術などの必要となる技術開発を進める」と、NEDOスマートコミュニティ・エネルギーシステム部は説明する。
福島水素充填技術研究センターには、水素受入設備(大型・商用モビリティーのトレーラー2台設置可能)、中圧水素圧縮機(4台)、高圧水素圧縮機(2台)、中圧水素蓄圧器(400リットル×9本)、高圧水素蓄圧器(300リットル×27本)、水素ディスペンサー(2基)、模擬容器(200リットル×10本)が設置されている。この設備群の中では、水素ガス・液体を急速充填すると、発熱して温度が上がることを回避する技術開発が不可欠になる。車両に充填した水素ガス・液体は85℃以下に保つことが求められる。このためには、元の水素圧縮ガス・液体をある程度予冷した上で、充填する技術が必要となる。しかも、その充填時間を実用的な範囲に抑えることも不可欠になる。これらの要望から、この予冷温度と充填時間の最適値を求めることになる。
同時に、大型・商用モビリティーに充填する流量を計測する技術開発も必要となる。今回は、「標準流量計によって校正された持ち運びできる流量計(マスターメーター)によって水素ステーションに設置された流量計の精度を検査する方法を開発する」と説明する。
「開発目標は、大型・商用モビリティーに水素ガス・液体を約10分で充填し、かつ大流量水素計量技術を開発することになる」という。これによって、日本政府が目指している水素社会の実現に必要な実用化技術を開発することになる。
なお、MEDOでは、この福島水素充填技術研究センターでの技術開発では、大流量水素計量技術の開発を産業技術総合研究所、岩谷産業、タツノ、トキコシステムソリューションズが担当し、大流量水素充填技術開発と同センターの整備などを日本自動車研究所、水素供給利用技術協会が担当するとしている。