デル・テクノロジーは12月13日、オンプレミス向けデータ保護アプライアンスの新製品として「PowerProtect Data Manager(DM) Appliance」を発表した。同日より、出荷が開始される。

  • 「PowerProtect Data Manager(DM) Appliance」

従来同社は、オンプレミス向けデータ保護アプライアンスとして、「Dell PowerProtect DPシリーズ」を展開してきたが、今回、「PowerProtec DM(Data Manager)シリーズ」が加わる。

同製品では、ソフトウェアとハードウェアを電源ONから稼働状態まで約30分で行うターンキー稼働をサポートし、クラウド連携機能もビルドイン(ソフトウェアラインセンス購入が必要)して提供。容量は12TB~96TBに対応。今後は96TB以上に対応するモデルも提供する予定だという。

  • 「PowerProtect Data Manager(DM) Appliance」概要

DPシリーズと大きく異なる点は、コアエンジンがPowerProtect Data Managerになっている点で、PowerProtect Data Managerはこれまで単独での提供されてきたが、コンバージドインフラ型で提供するのは初となり、独自のVMware保護やKubernetesにも対応する。

  • PowerProtect Data Manager

また、同社は新たにGoogle Cloud PlatForm向けのサイバー復旧ソリューシ「Dell PowerProtect Cyber Recovery for Google Cloud Platform」において、これまでのデータ防御に加えて、データ隔離機能(データの物理的および論理的な分離)を新たに提供する(AWSとAzure向けはすでに提供済)。同日から利用可能となる。

  • 3大パブリッククラウド向けのPowerProtect Cyber Recovery対応状況

AWS向けには、データ衛生(Intelligence)機能も提供されているが、AzureとGCP向けのデータ衛生(Intelligence)機能は、来年度には提供するという。

さらに同社は、サイバーリカバリーをどこから導入していいのかわからないユーザー向けのCyber Recovery アクセレレーター ワークショップの提供も開始するという。

  • Cyber Recovery アクセレレーター ワークショップ

さらに、APEXの新サービスとして、サイバーセキュリティーに特化したバックアップサービス「APEX Data Storage Backup Target」をas a Serviceとして提供する。APEX Backup Servicesはすでに提供しているが、バックアップ専用ストレージをas-a-Service形式で提供する点が異なる。専用アプライアンスにより、データ保全、データ検証、よりレベルの高い重複排除機能を利用できる。なお、こちらのサービスは2024年度上半期にサービス開始予定。

  • 「APEX Data Storage Backup Target」

グローバルのデータ保護に関する調査結果も発表

また、デル・テクノロジーズは同日、「2022 Dell Technologies Global Data Protection Index」(2022 年グローバル データ保護インデックス)の結果も発表した。

「Global Data Protection Index(GDPI)」は、世界15カ国14業種の1,000人のIT意思決定者に対して、データ保護の現状と将来課題を2年ごとに調査するもの。前回は2021年に行われ、「2022 Dell Technologies Global Data Protection Index」は設問項目を絞り、グローバルと地域平均のみ算出する中間経過調査という位置づけになる。

それによると、過去1年間に発生した障害インシデントのうち、サイバー攻撃が占める割合は2021年の37%から48%に増加し、2021年トップであった予期せぬダウンタイムを上回り、もっとも多い要因になったという。関連して、現在利用のデータ保護方法または製品からデータを復旧できないと回答した企業も、前回から15%増加している。

  • 過去1年間に発生した障害インシデント

2021年は、インフラ系要因するダウンタイム/データロスが多かったが、今回は外部からのセキュリティー侵害やクラウド利用増加にともなって、サービス/クラウド プロバイダーのエラーも増えているという。

  • ダウンタイム/データロスの原因

同調査からは、複数のデータ保護ベンダーを利用している企業が2021年の78%から83%とマルチベンダー指向である点がうかがえるが、マルチベンダー利用の85%が、ベンダーの数を減らすことにメリットがあると考えており、矛盾した結果になっていることも明らかになった。

  • データ保護環境の現状

さらに、サイバー攻撃や他のサイバー関連インシデントからの復旧時のコストについて、複数のデータ保護ベンダーを利用している企業よりも、利用しているベンダーが1社のみの企業の方が34%低いことが分かったという。

また、企業の91%がゼロトラストアーキテクチャを知っている、または導入する予定であると回答。企業がセキュリティに取り組むアプローチを、境界防御のみに依存する状況から、システムの境界およびデータ パイプライン全体を通じて、既知の認証済みトラフィックのみを許可する積極的な戦略へとシフトしているという。

  • ゼロトラストの導入状況