三菱重工と三菱重工エンジニアリング(MHIENG)は11月30日、2023年4月1日付けでMHIENGを三菱重工に統合することで合意したことを発表した。MHIENGが展開する事業を吸収分割により三菱重工に承継、社長直下の組織に配置し、グループの成長エンジンであるエナジートランジションを一層加速させる方針。

三菱重工グループは、2020年10月に発表した中期経営計画「2021事業計画」において、「エナジートランジション」と「社会インフラのスマート化」の2つを成長エンジンとして、2030年までに企業価値を大幅に向上する計画を掲げている。

CO2を回収して転換利用や貯留を行うCCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)が、カーボンニュートラル社会を実現するための有効な手段として注目されていることや、アンモニアが、船舶や火力発電のCO2排出を低減させる燃料としても、水素の輸送手段としても有効であり、今後の急速な市場拡大が見込まれている。これにより、三菱重工はCO2フリー水素・アンモニアの市場確立のため、水素エコシステムの構築やインキュベーション投資など社外とのパートナリングを含め推進しており、複数製品をまたいだ取りまとめ能力の強化を進めている。

CO2回収技術に加え、豊富なアンモニア・水素の経験値を保有しているMHIENGとの統合により、MHIENG が化学プラントや交通システムで有するプロジェクトマネジメント能力や、バリューチェーン構築に向けたコア技術と、三菱重工の技術を有機的に組み合わせ、エナジートランジションや社会インフラのスマート化におけるソリューションビジネスをさらに加速していきたい考え。

三菱重工グループは、今回の統合を通じて資源の有効利用と環境負荷低減に一層貢献するとともに、カーボンニュートラル社会実現に向けた挑戦を続けていくとしている。