岡山県真庭市、NTT 西日本岡山支店、地域創生 Co デザイン研究所、住友林業の4社は11月21日、持続可能な森林経営に向けて真庭市の森林情報をデジタル化しCO2吸収量を可視化する共同実証を実施したと発表した。

実証実験では、真庭市美甘地区のスギ・ヒノキ林(約13ヘクタール)に対して森林資源データを取得・解析し、森林経営にかかるコストシミュレーションモデルの構築や森林のCO2吸収量を算定した。

  • CO2 吸収量を可視化する実証のフロー

コストシミュレーションのモデルについては、地域の現状や課題を把握するための森林事業者へのヒアリング、森林情報をデジタル化するためのドローン撮影およびデータ解析、そして解析精度向上のための現地でのプロット調査を実施することで構築されており、このモデルによって、各地の森林で課題となっている森林経営コストをあらかじめ把握することで適切な森林管理や木材生産が可能となるという。

  • ドローン撮影の様子

森林のCO2吸収量は、ドローンレーザで計測したデータをもとに、航空写真のオルソ画像を作成し、スギ・ヒノキを判別したうえで、樹高や本数や立木材積などの算出を行い、これらの情報を森林情報と掛け合わせて算定する。その結果、調査地のスギ・ヒノキ林で1年間に約11t-CO2/haを吸収しているという結果を得られたという。

  • CO2 吸収量のエリア分布

実証実験で、真庭市は「森林フィールドの提供」を行い、NTT西日本岡山支店が「実証全体調整」「ICTを用いた森林測量」「解析事業の構築」「事業性の検証」を行った。地域創生 Co デザイン研究所は「森林のCO2吸収量視える化の企画立案」「カーボンクレジット活用による持続可能な森づくりの検討」を行い、住友林業は「森林資源・CO2吸収量解析」「ゾーニングなどの解析データの活用」「コストシミュレーションモデルの構築」を担当した。

4社は、実証で得られたCO2吸収量のデータをもとに真庭市の森林において「J-クレジット」制度(省エネ・再エネ設備の導入や森林管理などによる温室効果ガスの排出削減量や吸収量を「カーボンクレジット」として国が認証する制度)を利用したカーボンクレジットの創出を目指していきたい考え。