東日本電信電話(以下、NTT東日本)、東京ガスネットワーク、東京電力パワーグリッドは11月18日、インフラ事業における持続安定化や地域価値向上に資する取り組みの推進を目的とした連携協定を締結し、記者会見を開いた。

3社はこの協定に基づいて、平時および災害時におけるインフラ基盤の安定化や、インフラ基盤データの共通プラットフォーム化、暮らしやすい街作りに資する取り組みを強化する。各社の既存事業の強みを生かすとともに、相互連携による地域価値の向上に向けた動きを加速する。

  • 3社による記者会見の模様

    3社による記者会見の模様

昨今甚大化する自然災害や、今後発生すると想定されている首都直下型地震などに対応するため、ライフラインのレジリエンスの強化が求められている。また、インフラ事業においては、暮らしやすい街作りやサスティナブルな循環型社会を実現するための施策も必要となっているという。

こうした状況の中で、インフラの持続安定化や地域価値の向上を実現するには、社会基盤として大きな役割を持つ「通信」「ガス」「電気」の連携が欠かせないとして、3社は今回の協定の締結に至ったとのことだ。

  • 3社のノウハウやアセットを活用するという

    3社のノウハウやアセットを活用する

災害時においては、激甚化する自然災害に備えるため、地域共同災害対策室を設置するなど災害対応力の強化を図る。また、これまで各社が個別に実施していた災害対応について、今後は人材や資材・機材を相互に連携し、自治体との窓口を一本化して情報を共有することで、迅速な復旧と効率的な対応を実現する。

また、平時においては、3社が有するアセットや維持管理技術を共有し、設備点検の効率化や災害予測の高精度化を進める。

  • 災害時の対応の例

    災害時の対応の例

インフラ基盤データの共通プラットフォーム化においては、従来は各社がそれぞれ紙や対面で実施している自治体との手続きを、共通のWebアプリケーションから実施できるような基盤を構築する。これにより、自治体としてもインフラ工事に関する窓口を統一できるメリットが得られる。

また、道路を掘削する必要があるような工事を行う場合に、これまでは各社が依頼していた工事立会を一元化できるようになる。工事が効率化できれば、地域住民が安心して暮らせる街作りにも貢献できる。

  • インフラ基盤データの連携によるメリット

    インフラ基盤データの連携によるメリット

東京ガスネットワークの社長である野畑邦夫氏は「当社は保安の確保や安定供給を支えるガス会社として東京ガスから独立し、同じ地域を支えるインフラ事業者として他の2社と連携を強化できることの重要性を強く感じる。今後大事なのは、3社を足すのではなく掛けることで新たな価値を作っていくこと」と意欲を語った。

  • 東京ガスネットワーク 代表取締役社長 野畑邦夫氏

    東京ガスネットワーク 代表取締役社長 野畑邦夫氏

東京電力パワーグリッド社長の金子禎則氏は「災害発生時は正確な情報の発信と早期の復旧が求められており、今後私たち3社はインフラのレジリエンスの強化を一層進める。今回の協定はインフラ事業を担うわれわれを取り巻く共通の社会課題に資する取り組みであるはず。これを機に事業や人材の壁を無くして一体となって地域社会に貢献できれば」と述べていた。

  • 東京電力パワーグリッド 代表取締役社長 社長執行役員 金子禎則氏

    東京電力パワーグリッド 代表取締役社長 社長執行役員 金子禎則氏

また、NTT東日本の社長を務める澁谷直樹氏は「水道や橋梁などさまざまなインフラの老朽化は社会全体の問題であり、この協定は単に災害発生時に連携するだけのものではなく、大きな社会問題の解決の糸口となる取り組みとなるだろう。本協定は決してクローズドな協定ではないので、これから課題やパーパスを共有してくれる仲間を増やして、インフラ分野のデジタルトランスフォーメーションを実現してサスティナブルな社会作りに貢献したい」と期待を見せた。

  • NTT東日本 代表取締役社長 社長執行役員 澁谷直樹氏

    NTT東日本 代表取締役社長 社長執行役員 澁谷直樹氏