さまざまな観点から多様性が叫ばれる現代。時代の進化に合わせて福利厚生を見直す企業が増えている。
2021年には「働きがい」や「ジェンダー平等」といった働き方の多様性を推進する内容を含む「SDGs」という言葉がユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた。また、学情の調査で20代中途採用の応募を増やすためにとるべき施策として人事担当者の30%以上が福利厚生などの見直しを挙げており、福利厚生への関心は年々高まっているようだ。
中には個性的な福利厚生を設置する企業も増えており、9月6日にはコロプラが新たな福利厚生の形として、オフィスでバナナが食べ放題になる「無限バナナ」の運用を始めるといった一風変わった福利厚生も注目も集めている。
そうした中、ひときわ充実した個性的な福利厚生制度を設けている企業がサニーサイドアップだ。今回は、そんなサニーサイドアップが取り組んでいる福利厚生について、ソーシャルグッド推進室の井口有紗氏と生田大樹氏に聞いた。
PR会社として「その時代に最も合った」福利厚生を
サニーサイドアップが設定している福利厚生は「32の制度」といい、「たのしいさわぎをおこしたい」というコーポレートスローガンのもと、会社に属する社員(メンバー)が楽しく充実した生活を送れるように2011年に制定された独自の仕組みだ。
特にヘルスケア・ウェルネスの領域に注力しており、楽しく充実した「自分らしい生活」を送ることができるような制度が設定されているという。
「この『32の制度』には、『失恋休暇』や『幸せは歩いてこない制度』、そして9月1日に制度の中に追加した『寝る子は育つ制度』など、独自の一風変わった制度がたくさん設定されています」(井口氏)
井口氏が例に挙げた「失恋休暇」とは、その名の通り「失恋したら会社を休むことができる」という制度。実際のパートナーとの関係以外にも、2次元・3次元の「推し」の結婚や熱愛報道にも対応しているという。
また、「幸せは歩いてこない制度」は、月間平均で1日1万歩歩くことによって報奨金3,200円が手に入るという健康的な制度。毎日歩くだけで、健康とボーナスを獲得することができるいいこと尽くしの制度だ。
そして今回、新たに追加された「寝る子は育つ制度」は、たくさんの睡眠をとることで、心身の健康を保ち、日中の集中力をアップするために設定された制度で、毎月平均1日7時間以上の睡眠を取ったメンバーに対して報奨金3,200円が支給されるというものだ。
これらの制度以外にも、告白・プロポーズなどの勝負の日に休暇を取得できる「恋愛勝負休暇」、社内のセントラルキッチンで卵かけご飯が無料で食べることができる「TKG制度」、卵子凍結保存・AMH検査・精液検査などの費用補助など、選択肢を広げることができる「Dear WOMEN」制度など、個性豊かな制度がそろっている。
上記の一覧を見て分かる通り、制度内にはたくさんの福利厚生が設置されているが、実はその数は「32個」ではなく「30個」なのだという。
「32の制度は、現在約30個のさまざまな福利厚生から成り立っています。いま2個空欄になっている理由としては、数に余裕を持たせることで、社員から追加するべき福利厚生の意見をクイックに入れることができるようにするためです。弊社はPR会社なので、最先端の情報を扱う企業として常にトレンドに合った福利厚生を追加・削除しながらアップデートを行っています」(生田氏)
この32の制度はメンバーの意見を公募し、設置されたものが多く、今までにも役目を終えて削除された福利厚生や、潮流に合わせて追加されたり改変されたりしている福利厚生もあるそうで、企業としての信念がうかがえる内容になっている。
最新の「寝る子は育つ制度」はなぜ必要だったのか?
時代の流れを読み福利厚生が追加されるということは前述した通りだが、9月1日に新設されたばかりの「寝る子は育つ制度」はなぜ追加されることになったのだろうか。
この新設の背景には、代表取締役社長の小久保正人氏の熱い想いがあったのだという。
「自分自身、1年間長男が中学1年の時に2人で暮らしていて感じたことですが、日々のパフォーマンスにおいて『睡眠』はとても大切です。中学生の頃、背が低かった子どものために睡眠を中心に管理を行っていました。その成果もあってか高校生になる頃には30㎝も身長が伸びていました。もちろん要因は睡眠だけではないでしょうが、自分のポテンシャルを最大限発揮し、高いパフォーマンスを発揮するには『質の良い睡眠』は欠かせないものだと改めて実感しました」(小久保氏)
この「寝る子は育つ制度」を開始してから、睡眠の質にこだわっている人が多いことも判明してきたといい、それ以外のメンバーでも早起きの習慣が付いたメンバーも多いのだという。
最後に今後の展望を井口氏と生田氏に伺った。
「今後も支援の充実や福利厚生のアップデートに注力したいです。そして、弊社での取り組みを業界や世の中に発信していくことで、世の中全体の意識を変革していきたいと思っています」(生田氏)
「「多様なメンバーの活躍を後押しできるよう、制度の在り方も変わっていかねばと思います。福利厚生の充実は世の中の流行として取り組んでいる企業も多いと思います。しかし、今はまだ若い世代向けや社員本人向けの福利厚生が多く、本当の意味で『誰でも使える制度』ではないと思っています。したがって、今後はメンバーも利用者、メンバーの大切にしている家族やパートナー人のことも守れる制度にしていきたいです」(井口氏)
コロナ禍で今までの常識が通用しなくなった世界。 社会は今後、変化を求められることが多いだろう。 そんな中で常に時代の先を読み「PR会社」として自分たちの会社をモデルケースにトレンドを作っていくサニーサイドアップの福利厚生が新しいトレンドになる日も近いのかもしれない。