日本電信電話(以下、NTT)とメディカロイドは11月15日、遠隔手術の実現に向けた研究として、手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム(以下、hinotori)」とIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)のAPN(All-Photonics Network)を接続することで、物理的に離れた環境を統合して、よりリアルに手術室の状況を伝送できスムーズなコミュニケーションが可能な空間を目指す共同実証を開始したことを発表した。

両社はNTT武蔵野研究開発センター(東京都 武蔵野市)内に、大容量低遅延を特徴とするAPNを用いて100キロメートル以上の距離を模した実証環境を構築した。この環境下でメディカロイドのhinotoriを接続し、非圧縮による超低遅延かつ暗号技術による高セキュリティな映像伝送での手術環境を共有するとともに、NTTの音声技術を用いて音が飛び交う手術室でもクリアな会話を可能にする機械音除去などを実証する。

  • システムの構成図

    システムの構成図

今回の実証では、拠点間で1波長あたり100ギガビット毎秒以上の大容量、および低遅延性、ネットワーク遅延の時間変動がない遅延ゆらぎほぼゼロといった特徴を持つ光伝送パスを実現し、通常の手術と変わらない動きでの遠隔操作を確認する。

また、超低遅延映像伝送技術によって、8Kの超高精細映像で手術環境の共有に必要な手術支援ロボット以外の情報を光伝送パスに非圧縮でダイレクトに送出し、長距離かつ超低遅延でのリアルタイムなコミュニケーションも実証する予定だ。加えて、コミュニケーションの阻害要因となる音のみを除去するノイズキャンセリングにより、同一環境で手術しているかのような手術環境の共有についても検討する。

  • 実証の概要

    実証の概要

  • 遠隔操作中のhinotori

    遠隔操作中のhinotori