Mastercardは11月7日、決済手段に関する消費者の姿勢や行動の変化を調査した、第2回NPI(New Payments Index)の結果を公表した。今回の調査は、日本やオーストラリアなどのAPAC(アジア太平洋)地域7市場を含む、5地域40市場の約3万5000人が参加した。本稿では、特に日本の消費者の結果にのみ絞ってお届けする。

調査の結果、日本の消費者のうちデジタルウォレットやQRコード決済、BNPL(Buy Now, Pay Later:後払い決済)、暗号資産、生体認証(バイオメトリクス認証)などのうち、少なくとも1つのデジタル決済手段を過去1年間に利用したことがある人は70%であり、APAC地域で最も低い割合であったことが明らかになった。中国では90%と最も多くの人がデジタル決済手段を増やしていた。

  • 日本では過去1年以内に新しいデジタル決済手段を利用し始めた人の割合がAPACで最も少なかったという 資料:Mastercard

    日本では過去1年以内に新しいデジタル決済手段を利用し始めた人の割合がAPACで最も少なかったという 資料:Mastercard

生体認証に関する質問から、日本では52%の消費者が生体認証に使われる指紋や顔などの生体情報にアクセス組織について懸念を抱いていることが明らかになった。反対に、37%の消費者は時間を節約するために生体データを提供することに抵抗を感じないと回答していた。

日本の消費者の51%は本人を識別するためや、支払いのために生体認証を使用しており、47%の人は決済に生体認証を使用することは暗証番号やパスワードなどを利用した認証よりも安全であると認識しているようだ。また、51%の人は生体認証技術を使用する方が、暗証番号やパスワードを覚えるよりも簡単だと考えているという。

  • 生体認証は利便性とセキュリティが高いがプライバシーの懸念が残るようだ 資料:Mastercard

    生体認証は利便性とセキュリティが高いがプライバシーの懸念が残るようだ 資料:Mastercard

日本の57%の消費者がBNPLについて少しは知っていると回答したが、安心して使っていると回答した人は19%にとどまる。その一方で、APAC消費者の50%は現在安心して使っているという。BNPLを使う場面について聞くと、日本の消費者の76%は大口購入や緊急時の買い物に利用する機会が多いと回答した。40%の人は大手決済ネットワークに支えられたBNPLソリューションの方がより安心できると感じていることも明らかになった。

  • BNPL(後払い決済)は認知はされているが安心感は低いと感じているという 資料:Mastercard

    BNPL(後払い決済)は認知はされているが安心感は低いと感じているという 資料:Mastercard

暗号資産について耳にしたことがある日本の消費者は70%にも上るという。しかし、NFT(Non-Fungible Token:非代替性トークン)について聞いたことがあるのは32%だ。さらに、日常の買い物に暗号資産を利用し、NFT購入にデビッドカードやクレジットカードを利用できるような、暗号資産と従来の決済が互換的に利用できる柔軟性の向上を求めているのは5人に1人ほどだという。

APACに着目すると、消費者の88%は暗号資産について聞いたことがあり、68%はNFTについて聞いたことがあると回答している。また、APACの回答者の46%は日常の支払いに暗号資産を使用するような柔軟性の向上を求めていることが明らかになった。

今回の調査の回答者は、政府や信頼できる銀行のよう組織の関与が増えれば暗号資産への信頼が向上すると考えているとのことだ。なお、デジタル通貨のプロバイダーとして最も信頼できるのは銀行だと消費者は考えているという。

日本においては4人に1人の消費者が信頼できる組織が発行または裏付けする暗号資産であれば、安心して投資や決済を行えると考えているようだ。消費者の30%は現在利用している金融機関が暗号資産のサービス(暗号資産の送金、学習機会、デジタル資産の管理など)を提供することを望んでいることも調査から明らかになった。

  • 暗号資産の認知度は高いが理解不足と安定性への懸念が普及を遅らせているという 資料:Mastercard

    暗号資産の認知度は高いが理解不足と安定性への懸念が普及を遅らせているという 資料:Mastercard