千葉・幕張メッセでは、10月26日~同28日の期間で「Japan IT Week 秋」と「NextTech Week 秋」が開催されている。本稿では両イベントの出展企業4社のブースをレポートする。
強固なセキュリティが強みのクラウドストレージ「DirectCloud」
まずは、NextTech Week 秋の「AI・人工知能 EXPO展 秋」にブースを構えるダイレクトクラウド。同社のブースでは、主力サービスの法人向けクラウドストレージ「DirectCloud」を展示している。
同サービスは2015年に提供を開始しており、すべてのファイルをクラウド上に置いたままエクスプローラーにマウントした仮想ドライブで手軽にファイルの操作が可能。また、複数のユーザーが同一ファイルを操作した場合でも排他制御により、ログアウトすればPCにデータが残らないことから情報漏えいリスクを軽減できるという。
さらに、IT監査に耐えうるログ管理、緊急時に備えた災害対策と復旧、ランサムウェア対策、機密情報の漏えい対策などを可能としている。
今回の目玉は、年内に提供開始を予定しているオプション機能で、LINEのOCR「Clova OCR」を組み込んだAI-OCR「DirectCloud-OCR」だ。同機能は大量の紙文書をデジタル化するほか、検索性に優れ、オンラインでの編集や共有を行うことで生産性の向上につながるという。
そのほかのオプション機能としては、異常な振る舞いを自動で検知・診断してバックアップから感染時にもデータの復元が可能な「ランサムウェア対策」、機密情報を自動で暗号化可能な「DirectCloud-SHIELD」や内部統制の強化につながる「DirectCloud 監査」など。また、脱PPAPにつながるセキュアな共有リンクやゲスト招待をはじめ、チャットとクラウドストレージがシームレスに連携した「DirectCloud-TALK+」などもある。
クラウドストレージはBoxやDropboxなどがあることから、担当者に他サービスと比較した同サービスの強みを尋ねたところ、ランサムウェア対策をはじめとしたセキュリティ機能を挙げていた。
料金プランは「スタンダード」「アドバンスド」「ビジネス」「プレミアム」「エンタープライズ」の5種類を揃え、プランごとに容量が異なる。スタンダードは容量500GB、価格は月額3万円。
NTTデータ数理システムのノーコードデータ分析プラットフォーム「Alkano」
続いては、Japan IT Week 秋の「AI・業務自動化展 秋」に出展していたNTTデータ数理システムだ。同社では、昨年に提供を開始したノーコードのデータ分析プラットフォーム「Alkano(アルカノ)」を強く打ち出していた。
同プラットフォームは昨年9月末に提供を開始し、機械学習や統計解析、ビッグデータ、ディープラーニングなどのデータ分析が統合されている。ノーコードの分析環境でデータの取り込みから前処理、可視化、モデリング、運用まで一連の分析プロセスを直感的なGUI操作で実行できるデータ分析プラットフォームだ。
また、日本語テキストの深層学習も可能としており、大規模データにも安定した処理ができるほか、分析フロー共有、ユーザー権限管理など、組織の共通プラットフォームとして利用を可能としている。
CSVやExcelからデータをインポートすれば、視覚的な分析フローを構築でき、グラフの出力など簡単なものからサーバアプリケーションとしてのデータ分析サーバの構築、サーバアプリケーションとしてのAIシステム構築など、幅広い用途での利用を想定している。また、APIで他システム・サービスとの連携を可能としており、顧客の業務システムへの組み込みができる。
2022年9月にはバージョンアップに伴い時系列分析機能を追加し、時系列切り出し、時系列欠損補間、時系列特徴量作成をはじめとした時系列処理のためのアイコンが追加されている。
ユースケースとしては、製造業で異常検知、故障予兆検知、歩留まりの要因分析、需要予測、マーケティングでは顧客分析、潜在ニーズ、販売予測、併売パターン分析、コンサルティング・SIerではエンドの顧客にデータ活用のためのAIシステムの構築などを想定している。
両備システムズは認証セキュリティの「ARCACLAVIS NEXT」を展示
次は、Japan IT Week 秋の「クラウド業務改革EXPO 秋」に出展していた両備システムズ。
同社のブースでは、今年1月にリリースした認証セキュリティソリューションARCACLAVISシリーズ「ARCACLAVIS NEXT(アルカクラヴィス ネクスト)」を紹介していた。多要素認証やマスク着用時の顔認証に対応した。
今年1月にクライアントにインストールされているバージョンを閲覧・検索できるクライアント一覧機能などに加えて、顔認証+パスワード、ICカード+パスワードなどの「多要素認証」やマスク着用時でも対応可能な「顔認証機能」といった新機能を加えて、一新している。
また、別のアプリケーションやリモートデスクトップへのログインなどの操作を自動で行う「自動認証」により、ユーザーはログイン情報を意識することなく、業務システムなどへのログインが可能。オフラインでも利用でき、ICカード忘れなど緊急時の対応も「緊急パスワード機能」で認証デバイスがなくても一時的に本人認証を可能としている。
さらに、サーバ機能でユーザーの一元管理が可能で、CSVファイルからの一括での登録、修正、削除など管理者の負荷軽減の機能を提供。クライアント端末の管理も「自動アップデート機能」で新バージョンの展開・適用を行うほか、ログ収集でユーザーの認証操作、管理者の操作が取得できるという。
両備システムズでは、同サービスと、チャットなどのコミュニケーションツール「RS-Cloud Office」、カメラによる見守り機能やステータス管理を行うテレワークシステム「RS-Telework」、そしてこれらのサービスを支えるセキュリティ基盤でもある自社データセンター「Ryobi-IDC」を組み合わせて訴求していた。
「バックオフィスをDX」がテーマのjinjer
最後はjinjerだ。同社のブースには「バックオフィスをDX」というボードが掲げられており、各種バックオフィス向けクラウドサービスを提供している。
人事労務管理サービス「ジンジャー人事労務」、勤怠管理サービス「ジンジャー勤怠」、給与計算サービス「ジンジャー給与」、経費精算サービス「ジンジャー経費」、電子契約サービス「ジンジャーサイン」など、各種サービスを展示。
その中でジンジャー労務管理を紹介する。堂宇サービスは従業員管理、組織管理、マイページ、レポート、入社管理、項目カスタマイズ、ダッシュボード、アクセス制限といった機能を持つ。
担当者によると、入社書類や年末調整などの従業員に関わる書類の管理を効率化し、点在していた従業員情報を一元管理することが可能だという。また、従業員の移動や組織改編をドラッグ&ドロップで行うことができ、従業員の登録情報をプロフィールとしてマイページで公開することができ、コミュニケーションに役立つとしている。
これらシリーズの累計登録者数は1万5000社にのぼり、業種別ではIT、メーカー・小売り、飲食などを中心に導入されており、今後も期待したいところだ。