DigitalBlastは10月22日、衛星データをはじめとする宇宙に関するデータとさまざまな地上データの融合を図るため、ブロックチェーン上のデジタルアイテムであるNFTを用いたデータ流通基盤「ALICE(アリス)」の開発に着手し、早ければ2023年5月頃のリリースを目指すと発表した。

  • ALICEの全体像

    ALICEの全体像 (出所:DigitalBlast Webサイト)

また、ALICEで流通される衛星データの出品・購入が可能な衛星データマーケットプレイス「SATELLITE(サテライト・仮称)」も同時展開する予定であることも併せて発表された。

  • SATELLITE(仮称)のイメージ

    SATELLITE(仮称)のイメージ (出所:DigitalBlast Webサイト)

日本国内において衛星データをはじめとする宇宙に関するデータは、現在は宇宙航空研究開発機構(JAXA)や限られた衛星サービス事業者から主に販売・提供されている。それらのデータの信頼性も、提供できる機関や企業が限られていることから、現在は確保されている形だが、今後、宇宙ビジネスが拡大し、市場規模が大きくなるにつれてデータのコピーや改ざんが起こり得る可能性が高くなってくる。

こうした背景に対して同社は、宇宙に関するデータにNFTを発行することでデータ自体の価値を保証し、さらにそのサービス上で売買・譲渡が可能となるデータ流通基盤であるALICEを開発することにしたという。

ALICEは、衛星データなどの宇宙関連データの流通、所有者証明を目的としたプラットフォームであり、所有者証明にブロックチェーン技術を採用。ALICEを通じてブロックチェーン上にNFTを発行することができ、そのデータは唯一性が保持されることになる。発行されたNFTは、ユーザー間で売買・譲渡することが可能なほか、データの著作権を持つ事業者やユーザーには、二次流通におけるロイヤリティが還元されるという。

宇宙に関するデータに限らず、地上で取得されるデータやアート、画像、動画などのデジタルデータも取り扱う予定だという。衛星データと地上のデータを掛け合わせたデータも、NFTを発行してALICE上で流通させることが可能となるとしている。

なおALICEは、高い処理能力と低コスト、開発者視点で利便性の高いブロックチェーンのプラットフォーム「FlowBlockchain」を用いて開発が進められているという。また一方のSATELLITE(仮称)は、ALICEを通じて発行されるNFTの売買・譲渡が可能となるNFTマーケットプレイスの第1弾となる。取り扱うデータは、衛星データが対象で、アートや音楽、ゲームなどのNFTマーケットプレイス同様、ユーザーがNFTを出品し、ユーザー間でのNFTの売買・譲渡が行われるという。同社では、NFTが付与された衛星データの二次利用市場の促進に期待しているとしている。

今後、より多くの衛星データが取得され、多種多様な地上のデータと組み合わせた解析が行われることが見込まれている。NFTを用いることで個人間取り引きも可能となり、宇宙データの流通拡大が期待されると同社では説明しており、宇宙データの流通加速をはかることで、宇宙産業のさらなる発展を目指していくとしている。