NTT東日本と東京都調布市にあるドルトン東京学園中等部・高等部は10月20日、探究的な教育機会の創出および地域の価値創造の推進を目的とした連携協定を締結したと発表した。
「探究的な学習」とは、生徒自らが課題を設定し、解決に向けて情報を収集したり、周囲と協働したりしながら自分の考えを表現することで思考力や判断力、表現力などの育成を図るもの。
両者は、生徒の関心・課題に応える探究的な学習機会の創出、多様な主体と連携した地域の価値創造に取り組み、新たな教育モデルの創出や魅力的な地域づくりをめざすという。
今回の協定の目的には、「探求的な教育機会の創出」と「地域の価値創造」という2つの目的がある。
「探求的な教育機会の創出」では、NTT東日本のノウハウとドルトン東京学園が取り組む探求的な学習を掛け合わせ、新たな教育機会の創出を推進する。
第一弾として、ドルトン東京学園内に入店から商品選択、決済までをスマートフォンやクレジットカードで決済できる、NTT東日本グループのテルウェル東日本が提供するスマートストアを学校売店として導入し、生徒自らが運営できる環境を整備した。これにより、より実践的な環境で、購買データを分析・活用した店舗運営の改善活動を行うなど、ICTを活用した探究的な教育機会を創出する。
同校内には、食堂や売店がなく、生徒の悩みを解決手段として、スマートストアを設置した。このストアは、希望者10名により運営。食料品や文房具などを販売する。
決裁は、クレジットカードがスマホ決済で、現金は扱わない。生徒自ら運営を行うことで、店舗運営のリアルな学びを行うともに、購買データの分析を通じた実践的なICT学習が行える。
「地域の価値創造」では、ドルトン東京学園の敷地に隣接するNTT中央研修センター内にあるNTT e-City Laboを活用しながら、新たな地域の価値の発見に取り組んでいく。これには、両者だけでなく、近隣の飲食店や地場の企業、自治体を巻き込みながら、共創によって地域の価値創造に取り組んでいくという。
そのほか、今後はエネルギー資源循環の実現と教育への活用、NTT中央研修センター内あるeスポーツ施設を活用した教育と地域の交流、最新のテクノロジーに関する授業の提供なども検討しているという。
エネルギー資源循環の実現と教育への活用では、ドルトン東京学園内で発生した残飯等をNTT e-City Labo内のバイオマスプラントでバイオ液肥を生産し、ドルトン東京学園内の畑で利用することによる資源循環の実現や生徒によるバイオ液肥の作物への生育影響の調査を実施するという。
教育と地域の交流では、NTT e-City Labo内のeスポーツ施設「eXeField Labo」を活用した、eスポーツを軸とした地域との交流などの取り組みを検討していく。
今回の連携協定の狙いについて、NTT東日本 経営企画部 営業戦略推進室 担当部長 佐藤文武氏は「これまでNTT東日本グループでは教育分野に関して、ネットワークや端末、デジタル教科書、学務システムといった基盤的なICTサービスを中心に事業展開してきたが、近年の教育現場では、生徒ひとり一人の関心に沿って課題を発見し、解決に取り組む探求型学習が重要視されている。それを受け、NTT東日本グループでも教育分野でさらなる社会貢献をしていきたいと考えている。ドルトン東京学園様は、先進的な探求学習を行っており、調布における地域のパートナーでもあり、包括的な提携を結んだ。NTT東日本は地域会社という位置づけなので、各地域の循環型社会を支援していきたいと思っている。そのために、学校や自治体に深く入り込んで、モデル化していきたい」と語った。
一方、ドルトン東京学園 校長 安居長敏氏は、「ドルトン東京学園の校舎は6月に竣工し9月から使い始めた。4年前に開校してから学びのすべてを探求型にするということで、これまでさまざまな仕掛けをしてきた。ただ、内部でやるには限界もあり、となりにNTT東日本(研修センター)様があるということで、いつかはお近づきになりと思っていた。今回はそのとっかかりだと思っている」と述べた。
NTT東日本では今回の実証を通じて、同社としてどのように教育領域で貢献していけるかを検討し、学校ごとの特徴に合わせたソリューションを提供する取り組みを行い、全国展開を図っていくという。そして、2030年までに100校への導入を目指すという。