政府は昨年、日本のデジタル化推進に向け、国民がデジタルについて定期的に振り返り体験し見直すための機会として、記念日「デジタルの日」を創設した。今年は10月2日と3日が「デジタルの日」となった。
デジタル庁は10月2日、「デジタルの日」に関するオンラインイベント」を開催し、さまざまなプログラムを実施した。本稿ではその中から、「日本のデジタル度2022」と題する座談会の模様を紹介する。
登壇者は、メディア・アーティストの落合陽一氏、ブロードバンドスクール協会理事の若宮正子氏、デジタル庁デジタル監の浅沼尚氏の3名だ。
座談会は、日本のデジタル化がどの程度進んでいるかに関する調査「日本のデジタル度2022」の結果をもとに、デジタル機器や行政・民間サービスのデジタル化の普及度合を紹介する形で進行した。同調査は、全国の15歳から79歳の計2万5000人を対象に実施したものとなる。
デジタル機器の普及が進む中、いまだ使われるアナログ機器も
まず、主なレトロ(アナログ)機器とデジタル機器の保有率について、2021年の調査との比較が行われた。この結果に対し、若宮氏は、「使い勝手がいい物は、古くてもまだ残っていますね」と概観を述べた。
続いて、各機器を最も保有している年代や都道府県を加えた詳細データを検証した。ガラケーの保有率が最も高いのは富山県、固定電話とFAXの保有率が最も高いのは奈良県であることが明らかになった。
落合氏は、この調査結果のポイントとして、FAXがさほど減っていないこと、いわゆるガラケーやPHSには子供の見守りや医療機関など特殊な用途があるため減り幅が小さいことを挙げた。
浅沼氏は「少しずつデジタルデバイスが増えている中で、しっかり行政サービスを提供することが大事になると思っています」と語った。
オンライン行政サービスの普及は利用者への周知がカギ
続いて、各種サービスについて、デジタルとアナログのどちらの利用率が高いかについての比較が行われた。
まず、読書。これは登壇者たちの予想通り、まだ紙の書籍(62.3%)が電子書籍(37.7%)を大きく上回っている。
若宮氏は「情報価値の高いものはデジタルで見ますが、オールド・デバイスにも捨てがたいものがあります」、浅沼氏は「本には質感などの、デジタルにはデジタルの、それぞれ良さがあると思います」と語っていた。
続いては、タクシーの支払い。現金が58.9%とキャッシュレス(41.1%)を上回った。
この結果について、浅沼氏は「キャッシュレスにしていくのが大きな流れになっています」と動向を語ったt。若宮氏は、「タクシーで利用可能な支払い方法を、例えば車体などに、もっとわかりやすく書いてあるといいんですが」と、タクシーでキャッシュレス決済が進まない要因を指摘していた。
3番目の行政手続の状況は、郵送・窓口といったアナログが61.5%、デジタル(オンライン)が38.5%という結果が出た。
若宮氏は、「私たちが行政にアクセスする機会はめったにない」と指摘した上で、「たまにならいいかと思う人が多いのでは」との推測を示し、「頻繁にあるなら、合理化の効果があると思います」と付け加えた。
浅沼氏は、「100%を目指すのが基本的な路線」と述べつつ、「オンラインでできるということをきちんと伝えることが重要です」と、現状の課題を示した。
これに対して落合氏は、「デジタル・デバイドを踏まえると、アナログも残す必要があります」と、いわゆる情報弱者に対する配慮の必要性についても言及していた。
司会者から、「利用可能なデジタルサービスの種類も利用者も増加している」と水を向けられた浅沼氏は、「できることを少しずつ増やしつつ、それをちゃんと伝えるとともに、利用率が上昇していることも伝えるのが大事だと思います」と、周知の重要性を訴えた。



