ACALLと鹿島建設は、9月21日、オフィス環境がもたらすワーカーの生産性を検証すべく、40日間にわたり鹿島建設が開発した「そと部屋」を用いた実証実験を行い、その結果を発表した。
「そと部屋」とは、室内の光・音・風・香りなどを制御することで、屋外環境の「心地よさ・開放感」をオフィス内に再現する鹿島建設のサービス。自然とのつながりを意図して緑を提供する「バイオフィリックデザイン(自然とのつながりを意図したデザインを表す総称)」や、空からの光を室内に模擬する天井装置「スカイアピアー(空の見え方の特徴である色と明るさのみが知覚される開口色を天井に出現させることで、天井を天空と錯覚させる奥行きのある光で空間を包むもの)」、屋外の音風景を快適に室内に取り込む音場制御装置「サウンドエアコン」を融合させた五感に訴えるウェルネス空間となっている。
「そと部屋」を使用した実証実験は3回目となるものの、外部のワーカーが実際に働きながらのの実験は今回が初めての試みだという。 実証実験では、「そと部屋」で活動した際の生理面(myBeatを活用した自律神経活動の測定)、心理面(リラックス、ストレスなどに関するWEBアンケート)、知的生産性(単純作業、創造的作業のパフォーマンス)を定量的に評価し、ウェルネスに及ぼす影響を測定した結果、ワーカーの集中力と知的生産性が大幅に向上したことが確認できたという。
実証は、「そと部屋」設置前の2021年12月6日~23日、「そと部屋」設置後の2022年3月22日~4月12日の期間、ACALL社員を対象に、「個人作業(30分)・対面打合せ(30分)・休憩(15分)などを行い、作業前と作業後にWebアンケートに回答」また「myBeatを活用したバイタルデータ(自律神経活動)の取得」を行ったもの。
Webアンケートの結果、「集中しやすい」と回答したワーカーが17%から79%に、「知的生産性が上がる」と回答したワーカーは25%から79%に増加するという結果になったという。
また、「そと部屋」設置後の場所で働いた際、設置前に比べると「疲労感」 「ストレス」 「眠気」の大幅な軽減、「リフレッシュさ」にも大幅な増加が見られ、4つの項目で高い効果があることも明らかになった。
加えて「そと部屋」設置によって、「開放感を感じる」と答えたワーカーは50%から100%に、「自然を感じる」と答えたワーカーも0%から86%に増加しており、今回の調査結果から、集中力と知的生産性が高まる環境要因として、開放感や自然を感じる場所に関連があることが考えられるという。
バイタルデータ測定の結果としては、「そと部屋」は従来のワークスペースに比べて、活動・緊張している時やストレスがある時などに働く交感神経が沈静化され、睡眠・休息している時やリラックス時などに働く副交感神経が活性化することもわかったとのことだ。