米Slackは9月20日、米サンフランシスコで同日から同22日まで開催しているSalcesforceの年次イベント「Dreamforce 2022」において新機能「Slack Canvas」などを発表した。
情報を埋没させないための「Slack Canvas」
米Slack プロダクト&エンタープライズ担当SVPのロブ・シーマン氏は「オフィスで仕事をするメリットを、当社が提唱するデジタル化の拠点であるDigital HQに取り入れた」と述べた。
今回、同社ではSlack Canvasに加え、既存機能であるSlackハドルミーティングの機能追加、Slack Platformのオープンベータ版を発表した。
Slack Canvasは、大規模な組織や部署、チームにおける必要なツールや情報を見つけやすくし、メンバーが利用しているSlack内でチャンネルにまたがる情報を簡単に整理・共有できるというものだ。
ある調査によると、標準的なナレッジワーカーは週に平均4.5時間を情報の探索に費やしており、回答者の45%が分断されたえシステムから情報を探す必要があるという。Slack上に行われるアクションはグローバルを含めたユーザー全体で週に約150億回に達し、ファイルの共有やハドルミーティング、リアクション文字の利用などのアクションが行われている。
新機能では、チームメンバーが必要とするデータのスナップショットをコード不要で簡単に作成でき、今後予定しているSalesforce Customer 360などのシステムからデータを取り込んで、Canvasに保存できるようになるという。
これにより、表示・更新・共有が簡単なCanvasをインタラクティブなダッシュボードとして活用できるようになり、ユーザーはCanvas内のカード上にリンクを加えることで、アプリを切り替えることなく、アプリから取得したデータのプレビューや再読み込み、直接更新が可能になる。
例えば、有給休暇の申請など5分で終わりそうな作業でも休暇の規則を確認するために複数のアプリを探し、申請を行うために別のシステムにログインし直すなどの作業をしているうちに時間が経過してしまう…。申請のみならず、チャンネルが多くあるためSlack上で情報が埋もれてしまい、すぐに参照したい情報に辿り着けないといった経験がある人もいることだろう。
Canvasは、背景情報(上記の例の場合は有給休暇の規則)とタスクを自動化するアクセスしやすいワークフロー(休暇申請のボタン操作)の両方を1カ所にまとめることができる。
ユースケースとしては新規採用者の研修やマーケティングキャンペーンの立ち上げ、商品・サービスの概要書や最新の取引情報の共有など、さまざまな目的に応じてカスタマイズして活用ができるという。
ハドルミーティングの追加機能とSlack Platformのオープンベータ版
一方、Slackハドルミーティングでは、従来は音声通話のみだったが、ビデオ、スレッドの保存、複数人での画面共有など、今年の年次カンファレンス「Frontiers」で発表した機能をグローバルで提供開始する。
また、Slack Platformは昨年のFrontiesにおいて、Digital HQを構築できる製品開発を効果的に実現するためにSlack Platformを刷新しており、開発者向けのプライベートベータ版発表された。
そして、今回オープンベータ版の提供を開始する。これにより、従来以上に容易に自動化を構築できるようなり、メンバー間やSalesforce Customer 360など必須のシステムを横断した仕事の効率化を進めやすくなるとともに、チームメンバーはチャンネル、ハドルミーティング、Slack Canvasなど、どこからでもワークフローを共有できるとしている。
また、新しいCLI(コマンドラインインタフェース)とSDK(ソフトウェア開発キット)で各種基準に準拠した安全な環境でコードをビルド・実行・デプロイでき、再利用可能なモジュール型の関数により、ワークフロー全体でコードの再利用や交換をが容易になることから、開発の重複やメンテナンスの負担、技術的負債を減少させることができるという。
さらに、リンクトリガーをワークフローに追加することで、メッセージでワークフローを共有し、メンバーにプロセスを伝えられることに加え、ワークフローをチャンネルのブックマークバーに保存できる。
そのほか、ハドルミーティングのスレッドにワークフローを追加して会話を具体的な次のアクションにつげられ、来年にはワークフローのCanvasへの埋め込みに対応し、重要な背景情報と仕事を進めるアクションを結び付けられるようになるという。