9月7日から9月9日にかけて幕張メッセにて開催されている最先端科学・分析システム&ソリューション展「JASIS 2022」。
HORIBAグループは、9月7日から新たに発売する、分析時間の大幅な削減を可能にした微小部X線分析装置「XGT-9000 Pro」、卓上型蛍光X線でホウ素(B)などの軽元素分析を実現した「XGT-9000 Expert」の2機種を含めたさまざまな分析ソリューションの展示を行っている。
ホウ素からの軽元素分析を可能にした卓上型微小部X線分析装置
HORIBAグループの今年の展示コンセプトは“「はかる」の今に触れる、未来に出逢う”。元素分析、粒子解析、ラマン分光分析、蛍光分光分析、水・液体分析、水素・CO2活用やライフサイエンスといったさまざまな分野で活用されているHORIBAの分析ソリューションが数多く紹介されている。
そんな中、新製品として9月7日より発売が開始される「XGT-9000 Pro」、「XGT-9000 Expert」は展示会では初のお披露目となる。
「XGT-9000」シリーズは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)のはやぶさ2プロジェクトにおける小惑星「リュウグウ」の砂の分析貢献でも知られる微小部X線分析装置。
XGT-9000 ProとXGT-9000 Expertは検出器の改良に伴う感度の向上と、特許を取得した信号処理を高速化する独自アルゴリズムを採用により、XGT-9000 Proは最大65%、XGT-9000 Expertは最大50%、分析時間を削減する。
また、蛍光X線分析は金属などの分析に強い一方で、ナトリウム(Na)よりも軽い元素の高感度分析がこれまでは難しく、窒化物や有機物の分析には別の装置で分析する必要があった。
XGT-9000 Expertは卓上型のエネルギー分散型蛍光X線分析装置ながら、ホウ素からの軽元素分析を実現し、炭素(C)、窒素(N)、酸素(O)といった軽元素の高感度分析も可能だ。
これにより、従来は複数の装置を用いていた酸化物や窒化物、有機物などの分析も1台で完結できるため、材料分析の大幅な時間削減、効率化、省スペース化に貢献できるという。
HORIBAの担当者によれば、混入異物の解析ニーズが多くなってきているといい、XGT-9000 ProとXGT-9000 Expertは、視認が難しい数10μmレベルの異物分析が非破壊・非接触で可能なため、異物の元素分析にも適しているとしている。
微小物の観察には走査電子顕微鏡(SEM)を用いることもあるが、XGT-9000 ProとXGT-9000 Expertは最大マッピングサイズ100mm×100mm、最大試料サイズ340mm×240mmという比較的大きなものまで対応しているのも特徴だ。
高濃度水分を含む排ガスにも対応する水素ガス測定装置
昨今、カーボンニュートラルの実現に向けた次世代エネルギーとして、水素が注目されており、水素エネルギー関連での研究開発が加速している。
HORIBAでは2022年2月28日に水素ガス測定装置の新製品「HyEVO」を販売開始している。
「HyEVO」は、水素エンジンや燃料電池などの水分を多く含むガスにおいても水分除去することなく、高精度・高分解能で測定が可能な点が特徴だ。さらに、応答時間を1秒以下を実現している。
これらの特徴により、エンジンやガスタービンでの水素やアンモニアの燃焼のほか、燃料電池、水素製造といった幅広い技術開発用途に用いることができるという。
このほか、HORIBAの展示ブースでは、同社のこれまでの分析実績・技術を活かし、2022年度から本格展開を開始した「光学コンポーネント&分析モジュールの受託開発・設計・量産販売」や分析装置のサブスクリプションといったさまざまなニーズに応えるソリューションを紹介している。