8月31日から9月2日まで幕張メッセで開催された「第2回スマートエネルギーWeek【秋】」で、古河電気工業(古河電工)は、風力発電などの送電に用いる自営線の地中埋設管「エフレックスS」を紹介。製品の実物をブースに展示した。

  • 古河電工のブース展示の様子

    古河電工のブース展示の様子

古河電工は、電線を地中に埋設する際の保護管として用いられる波付硬質ポリエチレン管(FEP管)「エフレックス」の製造を1967年より行っている。

FEP管は、ケーブルの地中埋設でこれまで広く用いられてきた塩化ビニル管(塩ビ管)に比べ、可とう性(曲がりやすさ)が高いのが特徴。塩ビ管の場合は曲線の部品を組み込む必要があった箇所でも、本体が曲がるFEP管はスムーズに埋設を進めることができるという。

そして古河電工は、エフレックス管の公道埋設向け製品として、短尺で直管の状態での輸送が可能なエフレックスSを製造している。古河電工のブース担当者によると、同製品は公道での地中埋設作業においてメリットを発揮するという。

  • ブースに展示されたエフレックスS

    ブースに展示されたエフレックスS

従来製品は長尺であったため、輸送の際には巻き込む必要があり、埋設の際にはその巻き癖を矯正する必要があったとのことだ。また製品自体のサイズが大きいため、埋設には大規模な作業が必要であり、工事の際に交通制限を伴う公道での導入における課題になっていたという。

今回展示されたエフレックスSの有効長は5m(全長5.25m)で、直管の状態でも輸送が可能なため、巻き癖の矯正が不要になるとする。また製品1つが短く軽量化されているため、大人2人での運搬も可能で、埋設作業の効率が向上するとのことだ。さらに、管同士の接続は2本の継手に滑剤を塗布して差し込むことで完了するため、作業員の負担も軽減されるとしている。

  • オス側継手(写真左)のパッキンとメス側継手(写真右)の内面に滑剤を塗布し、まっすぐ差し込むことで接続が完了する

    オス側継手(写真左)のパッキンとメス側継手(写真右)の内面に滑剤を塗布し、まっすぐ差し込むことで接続が完了する

前出のブース担当者によると、「FEP管が短いことで作業がしやすくなり、決められた工事時間の中でより長い距離の埋設が可能になるので、道路での自営線工事には強みを発揮するはず」だという。

加えて同製品は、大きな荷重が繰り返される埋設管路の強度や舗装への影響を確認する「15万輪試験」で基準を満たしているとのことで、管理者が異なる広い範囲にまたがって埋設される際にも、エフレックス管の適用範囲を広げやすいとする。ブース担当者は「製品コストや作業コストの面でも従来管に比べて強みを持っているので、導入範囲が広がることで自営線を埋設する発電事業者へのコストメリットが大きくなるはずだ」と語った。