医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN)とNosterは8月18日、健常者と糖尿病患者を比較したヒト研究ならびに動物モデルを用いた検証から、肥満や糖尿病を予防・改善する可能性がある新たな腸内細菌「ブラウティア」(ブラウティア属の「Blautia wexlerae種」)を発見したと発表した。

同成果は、NIBIOHN ヘルス・メディカル連携研究センター 腸内環境システムプロジェクト/ワクチン・アジュバント研究センター ワクチンマテリアルプロジェクトの國澤純センター長、同・細見晃司主任研究員、早稲田大学の竹山春子教授、Noster、山口県周南市、新南陽市民病院らの共同研究チームによるもの。詳細は、英オンライン科学誌「Nature Communications」に掲載された。

肥満や糖尿病などの原因として、食べ過ぎや運動不足などに加え、腸内細菌の関与が示唆されている。そこでNIBIOHNが現在行っているのが、日本人5000名以上の腸内細菌による大規模なデータベースの構築と解析だという。その一環として、NIBIOHNは、山口県周南市および新南陽市民病院と、国民・市民の健康増進に寄与することを目的として、連携・協力して調査研究を行うための連携協定を2017年に締結したのだという。

今回の研究では、日本人の腸内細菌と肥満や糖尿病との関連について、ヒトを対象にしたデータ解析が実施された。その結果、腸内細菌の1つであるブラウティア菌がBMIや糖尿病リスクと逆相関するという知見が得られたとする。

そこで、ブラウティア菌の抗肥満、抗糖尿病効果を検証するために、高脂肪食負荷マウスにブラウティア菌を摂取させる動物実験が行われたところ、内臓脂肪の蓄積抑制を伴う体重の増加抑制が明らかにされたという。この結果から、ブラウティア菌は脂肪の蓄積を抑えて、肥満を予防できる可能性があることが確認されたとする。