富士キメラ総研は8月16日、企業向けソフトウェアの国内市場を調査し、その結果をまとめた「ソフトウェアビジネス新市場 2022年版」を公開した。

  • ソフトウェア49品目の国内市場(出典:富士キメラ総研)

    ソフトウェア49品目の国内市場(出典:富士キメラ総研)

同調査では、業務システム14品目、CX/デジタルマーケティング9品目、情報分析3品目、コラボレーション11品目、プラットフォーム/インフラ12品目の計49品目の市場について、パッケージ/SaaSの2つの提供形態別に捉え、ソフトウェアビジネス市場の将来を展望している。

2022年度の市場はコラボレーション、業務システムがけん引して好調。電子帳簿保存法などの法改正によるペーパーレス化の進展やDX推進、コロナ禍におけるテレワークの普及などにより、さまざまなソフトウェアの需要が高まり、市場は前年度比10.2%増が見込まれるという。

提供形態別では、SaaSを前提に導入を検討するユーザーが増加していることや、初期導入および運用コストの削減、機能拡張性への期待、短期間での導入、テレワークへの迅速な対応などから、SaaSを軸に市場は拡大し、2026年度には2021年度比45.5%増の2兆4,607億円と同社は予測した。

  • カテゴリー別ソフトウェア49品目の国内市場(出典:富士キメラ総研)

    カテゴリー別ソフトウェア49品目の国内市場(出典:富士キメラ総研)

業務システムは、電子契約ツール、経費精算ソフト、労務管理ソフト、人材管理ソフトが大きく伸長。パッケージ製品のSaaS移行が進み、ビジネス環境や法改正による業務フローの変化に対応した新たな需要が増加している。CX/デジタルマーケティングは、コロナ禍でマーケティングが対面からデジタルへ変化したため、ソフトウェアの活用が進んでいる。

情報分析は、アドバンスドアナリティクスツールなど意思決定を支援するソフトウェア需要が増加している。コラボレーションは、特に請求書受信/スキャンサービスやファイル/コンテンツ共有サービス、ビジネスチャットなどの需要が高まっている。

プラットフォーム/インフラは、労働力不足などを背景に業務効率化や自動化ニーズが高まり、RPAツールやOCRソフトウェア、Webデータベース/ノーコード開発ツールなどが市場をけん引している。また、データ利活用のための基盤として、データベースやデータ連携ソフトウェアの需要も増加している。

注目市場として、「電子帳簿保存法改正関連市場」、「経費精算ソフト」、「Webデータベース/ノーコード開発ツール」を挙げた。電子帳簿保存法改正関連市場は、帳票類のペーパーレス化に対応するためのソフトウェア需要や2023年より導入が予定されているインボイス制度への対応も追い風となり、2026年度の市場は2021年度比55.3%増の2,405億円を予測した。経費精算ソフトは年率10%前後で伸びるとみられるほか、請求書受信/スキャンサービスは、2026年度は2021年度比13.3倍と予測している。

Webデータベース/ノーコード開発ツールに関しては、2021年度はシステム内製化の需要や、開発期間の短期化ニーズを背景に大幅な市場拡大となり、2022年度も引き続き市場拡大が予想される。2023年度以降も、非IT部門で迅速かつ容易に業務システムを構築するニーズが高まっていることから、さまざまな業種でノーコード開発の活用が進み、今後も市場は拡大するとみている。