京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は7月27日、温冷蔵機能を備えた無人走行ロボットによる移動販売サービスの実証実験を、千葉県美浜区の幕張新都心で開始。8月2日には、メディア関係者向けデモンストレーションが行われた。

  • KCCSが移動販売の実証実験を行う無人走行ロボット

    KCCSが移動販売の実証実験を行う無人走行ロボット

モビリティ活用が進む千葉市で実証実験を開始

KCCSは、無人自動走行ロボットを活用し、モノやサービスを必要とする人のもとへ届けることで、子どもから大人まで誰もが安心・快適に住み続けられる街づくりの支援を目指し、自動走行を行う低速モビリティの活用可能性調査や技術検証を行っている。

同社は今回、配送業における慢性的な人手不足解消に加え、大規模住宅が集まる住居地区全体での高齢化が進む「オールドニュータウン化」などで表出する買い物の課題に対し、自動ロボットによる商品購買までのアクセス改善を目指し、実証実験を行うとしている。

同社はこれまで、2021年8月~9月に北海道石狩市で、2022年3月に幕張新都心で、無人自動走行ロボットを活用した配送サービスの実証実験を行っており、今回は自動走行の実績がある幕張新都心での実施に至ったという。

また、幕張新都心が位置する千葉県千葉市は、先進的なモビリティサービスの活用を目指し「幕張新都心モビリティコンソーシアム」を運営しており、今般の実証実験に際しても積極的に協力しているとのことだ。

幕張新都心エリアを自動で走行するロボット

無人移動販売のデモンストレーションを実施

今回の実証実験では、冷蔵機能を備えた無人走行ロボットが千葉市美浜区3丁目の一部区画を自動で走行し、公園内やマンション・高齢者向け住宅の私有地内など既定の4か所に停車して、商品の販売を行う。なお、販売商品は冷たい飲料やゼリー、お菓子などで、イオンスタイル幕張ベイパークで商品が提供・搬入されるという。

最高速度が時速15kmだというロボットの自動走行については、遠隔での監視を行い、緊急時などでは遠隔干渉も可能だとしている。また、今回の実証実験では、歩行者と接触する可能性がある場所には警備員を配置しているとのことだ。

停車場所での商品購入の際には、まずロボットの車体に搭載されたタッチパネルから商品を選択し、電子マネーでの決済が完了したのちに、冷蔵機能を持つロッカーが開錠され購入商品を取り出す。

無人移動販売ロボットでの購入デモンストレーションの様子

無人走行ロボットの運航は午前に1回、午後に2~3回ほど行われているといい、販売場所での停車時間は最低10分程度で、購入客がいる場合は停車時間を延長するとのことだ。KCCS事業開発シニアディレクターの吉田洋氏は、「現時点ではあらかじめ想定していた以上に商品が購入されている」と語った。

  •  KCCSの吉田洋氏

    KCCSの吉田洋氏

社会実装に向けてさらなるアップデートへ

KCCSは、今後も自治体や協力事業者との連携のもと、各地域のニーズや課題に即したサービスの実証を継続し、無人自動走行ロボットの社会実装に向けた活動に取り組むとしている。

また同社の吉田氏によると、移動販売を利用した人へのアンケートではポジティブな意見が多いとのことで、「今後も低速モビリティの分野で可能性を高め、社会実装を目指していく」とコメントした。

同実証実験の実施期間は2022年8月10日までで、土日含め週5日の運航を行う予定だとしている。