ヴェルトは、ウェアラブル端末やIoT端末などから蓄積されるヘルスデータやライフログと、企業や機関が持つデータを合わせ、仮想検証などを行うことができるデータ・プラットフォーム「Data Ethnography(データ・エスノグラフィー)」を一般企業や医療機関向けに8月5日から提供すると発表した。

ヘルスデータには、診療・研究機関のための検査データなどの患者・被験者としてのデータと、ライフログなど日常生活におけるデータが存在しており、現在、データの精度・性質や扱いの違いから、この2種類のデータを同時に活用することはハードルが高い。

そこでヴェルトは、データを整理・構造化し、そのメカニズムと因果関係を探索することで、企業や機関の新たな課題解決策の発見や、仮説の仮想検証をアシストする仕組みとして、Data Ethnographyを開発。

Data Ethnographyは、スマートフォンのライフログから体調に関連した発見をするコンディショニングAIアプリ「you’d」、またはそのアルゴリズムエンジン「Smallytics」搭載のアプリを用い、企業や医療機関にある同一ユーザーのデータを、許諾を得た上で連携し利用するWebサービスだ。データは匿名化・統計化処理をした上で、同社のクラウド上のダッシュボードや因果推論エンジンを通じて利用できる。

  • Data Ethnographyの構造

    Data Ethnographyのサービス構造(出典:ヴェルト)

利用可能なデータは、ユーザーのスマートフォン上のヘルスデータ(現在はiOSのみ対象)、およびyou’dでユーザーが入力した体調、不調症状、習慣に関するデータだ。特に、因果推論オプションを使うと、自社で持っているデータに何がどのように影響しているかをビジュアルで見ることができ、新商品やサービスの構想段階で新たなヒントを得ることが可能だという。

また、仮想的に特定のデータを変化させた際に、興味の対象となるデータがどのように変化するかを計算することができるため、より具体的な仮説の考察ができるとしている。

Data Ethnographyは、関係の強いデータをSmallyticsアルゴリズムなどを用いて、事前に推奨用に計算処理して使えるため、通常であれば長時間になる多くのデータ項目から関係性の推定処理を行う時間を大幅に短縮し、コストと時間のかかる治験や実験の前に短時間で仮想検証を繰り返し行うことができるため、企業や医療機関のイノベーションの一助となることが期待できるという。