アシックスは7月19日、アシックススポーツ工学研究所が培ってきた知的技術と3Dプリンタを用いて開発した新製品である「ACTIBREEZE 3D SANDAL」の説明会を開催した。説明会では、アシックススポーツ工学研究所の執行役員所長の原野健一氏、同研究所フューチャークリエーション部のデザインテクノロジー研究チーム高島慎吾氏が製品の性能や開発経緯を説明した。

  • 左から、「ACTIBREEZE 3D SANDAL」を手にした原野健一氏、高島慎吾氏

「ACTIBREEZE 3D SANDAL」は、ランナーやアスリートが競技やトレーニング後の身体をリラックスさせるなど、次のパフォーマンスへの準備のためのアフターパフォーマンスサンダルだ。

同商品は、パラメータを設定して数値を変えることで膨大なデザインのバリエーションを生み出すことができる設計方法であるパラメトリックデザイン手法と同社の持つ高度な3Dプリンタ技術によって実現した構造を特徴としている。

  • 「ACTIBREEZE 3D SANDAL」

見てわかる通り、立体的かつ厚みのある格子構造に設計されており、通気性やクッション性に優れた商品になっている。 筆者も実際に履かせていただいたが、通常のサンダルに比べてクッション性が強く、かかとから強く踏み込むとサンダルとは思えない強い反発力を感じた。 同商品は、素足に近い状態で履くことを推奨しており、実際に素足で履いてみても全く地面の固さを感じることがなく、常にクッション性の利いた状態で使用することができる。

この通気性やクッション性は、同社はこだわって作成した部分だそうで、これは同社が独自にランナーに調査した「レースの後にシューズを履き替える理由」に「通気性」「クッション性」「サポート性」「シューズのキツさ」というキーワードが挙がったことに由来するという。

日本時間の7月16日〜25日の期間でアメリカのオレゴン州で行われている「オレゴン2022世界陸上競技選手権大会」で初めて登場した同商品だが、現地の選手たちからは「レースの時以外は常に履いている」と好評だという。

同商品は、7月20日からアシックスオンラインストアで数量限定で発売が開始される予定。値段は9,900円で、サイズはSサイズからXLサイズまでの4サイズが展開されるという。

Sサイズは23.5~25センチ、Mサイズは25.5~26.5センチ、Lサイズは27.0~28.0センチ、XLサイズは28.5~30センチとやや大きめで幅広いサイズ感だが、ゆったり目に履く用途のサンダルのため、同社の靴を履くことができる人であれば問題なく使用できるとのこと。

しかし、高島慎吾氏曰く、「今後は「『作る技術』の他に『足形が計測できる技術』『データを変換する技術』の2つの技術の開発を進め、よりパーソナライズなアフターパフォーマンス商品を開発していきたいです」とのこと。

  • パーソナライズ化の未来を語る高島慎吾氏

同社は、それぞれの足の特徴に合わせて甲の高さや足幅の広さなどを個別に設定する技術の推進を進めていくという。

また今後の展望として、原野健一氏は「3Dプリンタを使用したサンダルを作成することが目的になってはいけないと思っています。常に『ユーザーファースト』の気持ちを忘れず、手段を模索していきたいです」と、力強く締めくくった。

  • 今後の展望を語る原野健一氏