AI(人工知能)による契約書レビューなどを手掛けるLegalForce(リーガルフォース)は6月23日、事業戦略発表会を開催し、シリーズDラウンドにおいて総額約137億円の資金調達を実施することを発表した。

ソフトバンクグループ傘下のSoftBank Vision Fund 2をリード投資家として、Sequoia China、Goldman Sachs、既存投資家であるWiL、みずほキャピタル、三菱UFJキャピタルなど、それぞれが運営するファンドを引受先とした第三者割当増資により資金を調達する。累計資金調達額は約179億円にのぼる。調達した資金は海外への新事業などに充てる方針だ。

  • 累計調達額179億円を達成した

    累計調達額179億円を達成した

LegalForceは現在、2つのサービスを展開している。そのうちの1つが2019年4月より提供を開始している契約審査プラットフォーム「LegalForce」。同プラットフォームは、最先端のAI技術と弁護士の法務知見を組み合わせ、契約書に潜むリスクの洗い出しから、リサーチ・修正・案件管理までを支援するサービスだ。

契約書をアップロードするだけで、大量の契約書のデータと弁護士の知見を学習させたAIが、瞬時にリスクや抜け漏れを洗い出す。2022年3月時点で導入企業数が2000社を突破し、同社のアンケート結果によると、導入企業の94%が契約書レビュー・修正業務の品質向上を、95%が作業時間の短縮を実感しているという。

  • 契約業務フローにおけるLegalForce

    契約業務フローにおけるLegalForce

もう一つのサービスが2021年3月に正式リリースしたAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」。同システムは、締結済みの契約書を管理するサービス。契約書をアップロードすると、自動で全文をテキストデータ化しAIが解析、契約書データベースを生成する。

LegalForceキャビネは、単にストレージ機能として契約書のファイルを保管するサービスではない。検索機能があるほか、台帳がダウンロードでき、契約更新のリマインド機能もある。自動更新の契約の拒絶期限や契約終了が近い契約をリマインドするメールを自動で送信する。2022年6月時点で同システムの導入企業数は450社を超えた。

代表取締役社長の角田望氏は「参入障壁が高く、未開拓な市場にいることが当社の強みだ。投資家からも契約のリスクを扱う事業のポテンシャルが評価された」と話した。

  • LegalForce 代表取締役社長 角田望氏

    LegalForce 代表取締役社長 角田望氏

同社はシリーズDラウンドで調達した約137億円を人材採用や開発強化、営業体制強化、マーケティングのほか、海外への新事業に充てる。まずは、すでにリーガルテック企業が多数存在する米国から進出する。2023年3月までに市場調査を完了させ、初期プロダクトの投入を狙うとのこと。

角田氏は「今回の資金調達により海外の競合企業と肩を並べられた。日本での事業をそのまま米国で実行するのではなく、現地の法律や企業の特色に合わせたサービスを提供していく」と説明した。