富士通とセールスフォース・ジャパンは6月21日、ヘルスケア領域における新たなソリューション創出に向けた協業に合意したことを発表した。

協業では、富士通の強みである医療や健康データをトラストに取り扱うノウハウやコンピューティング技術と、セールスフォースの強みであるCRM(顧客関係管理)に関する実績とノウハウを生かし、推進していく。

協業において、富士通は医療機関などと連携し、電子カルテ上の医療データを本人同意に基づきトラストに活用可能にする仕組みを実現するほか、高度なコンピューティング技術とAIなどのソフトウェア技術を誰もが容易に利用できるサービス群「Fujitsu Computing as a Service(CaaS)」を活用し、特定疾病の予兆を検知する独自分析、パーソナライズ化されたヘルスケアサービスの開発する。

一方で、セールスフォースは、医療業界に特化したCRM「Health Cloud」、外部データの統合を担う「MuleSoft」、患者データの分析を担う「Tableau」などを活用して、患者のさまざまな医療データを包括的に統合して分析することで、ペイシェントジャーニーを可視化し、パーソナライズした医療体験を提供する。

協業の第1弾として、両社は保険会社向けデジタルソリューションの提供に向けた共同開発に取り組む。同ソリューションは、保険会社や医療機関の協力の下、医療や健康情報からAIが予測した疾病の可能性などのデータをもとに、個人ごとの疾病のリスク評価を最適化した保険商品の開発を支援するもので、2023年度の実用化を目指す。

これにより、保険会社は加入希望者に最適な保険商品を提供できるだけでなく、パーソナルデータを活用することで、予防から診断、治療、予後までをこれまでの平均値に基づくモデルからトータルでカバーした新しい保険モデルを創出し、新たな保険商品の開発期間の短縮やシステム構築投資の適正化を実現することが可能になるという。