大阪公立大学は6月8日、パナソニックによって開発された技術による、活性酸素を含む「帯電微粒子水」が、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を不活化するメカニズムの一部を明らかにしたと発表した。

同成果は、大阪公立大大学院 獣医学研究科の安木真世准教授、パナソニックの小村泰浩氏、同・石上陽平氏らの共同研究チームによるもの。詳細は、ナノサイエンス・ナノエンジニアリング・ナノテクノロジーに関する全般を扱う学術誌「Journal of Nanoparticle Research」に掲載された。

SARS-CoV-2は、主に接触または飛沫を介して伝播するが、空気感染も確認されている。ヒト体外に放出されたウイルスは物質表面上で数日間生残することから、感染を予防するためにはマスクの着用や手洗いに加えて、空気中の浮遊ウイルスや環境表面に付着したウイルスを除去することが重要とされている。

環境表面に付着したウイルスに対しては、アルコールや塩素系消毒剤などによる消毒が推奨されているが、一方でそれら消毒薬の空気中への散布は、その効果と人体への影響の両面から推奨されておらず、空気中の浮遊ウイルスに対する効果的な消毒方法の確立が求められている。

そうした中、パナソニックが開発したのが、静電霧化装置の中で水に高電圧を印加することで、内部に活性酸素種の中でも反応性が高い「ヒドロキシラジカル」を含むナノサイズの帯電微粒子水を生成する帯電微粒子水発生技術であり、これまで、環境表面に付着する細菌や空気中のウイルスに対する不活化効果が確認されてきたほか、環境表面に付着するSARS-CoV-2も不活化することも確認してきた。しかし、そのメカニズムの多くは明らかとなっていなかったことから、研究チームは今回、帯電微粒子水によるSARS-CoV-2不活化メカニズムの解明を試みることにしたという。